舌は“内臓の鏡” 舌で身体のサインを読み解く方法/相川朋世
中医学では昔から、“舌は健康のバロメーター”“舌は内臓の鏡”などといわれてきました。なぜなら、舌はエネルギーや栄養素の通り道である経絡で、全身の臓腑と結びついていると考えられているからです。そのため、中医学でいう五臓六腑の機能や全身の気血津の状態は、舌で診ることができるのです。
血は血流状態を指し舌の色や静脈を、津は水分量で唾液の量や舌の潤い具合で、気は自律神経のようなもので舌の動きや形状から読み取ることができます。
舌の色は食後の飲食物の影響を受けやすいため、毎日食前、同じ時間に診るようにしましょう。また、光の影響や長時間舌を出しっぱなしにしていると色が変わってくるので、明るい自然光の中で、力を抜いて斜め下に出しながら10秒くらいを目安に診ましょう。
<表面に亀裂がある>
秋に近づき、だんだん涼しくなっていきますが、まだまだ暑い残暑は続きます。この暑さで食欲不振や冷たいものの飲みすぎ、身体にだるさを感じている人は多いのではないでしょうか?
身体に熱がこもると舌は赤っぽくなり、胃腸機能の低下で水分代謝が悪くなると舌は大きく腫れぼったく、舌の周りに歯形が残るようになります。
そのほかに、食べ物だけではなくよく噛んで食べるといった「食べ方」を気を付けるだけでも、むくみの予防につながります。
2019年8月21日
血は血流状態を指し舌の色や静脈を、津は水分量で唾液の量や舌の潤い具合で、気は自律神経のようなもので舌の動きや形状から読み取ることができます。
毎日歯みがきはするけど、自分の舌までチェックはしていないかもしれません。近年では、舌ブラシや舌専用クリーニングジェルなども販売しており、口の粘つきや口臭などを気にしている人が増えているのではないでしょうか?
毎日舌を診れば、簡単に体調のチェックができるので、今回のコラムでは舌の見方を紹介したいと思います。
毎日舌を診れば、簡単に体調のチェックができるので、今回のコラムでは舌の見方を紹介したいと思います。
健康な舌とは…?
健康な時の舌質は、薄いピンク色、きれいなカーブをしていて、動きもスムーズです。また、舌苔はうっすらと白い苔が表面にあり、適度に湿っています。舌苔とは、舌の上の生えている白い苔のようなもののことをいいます。
舌で健康チェックをしてみましょう
舌の色は食後の飲食物の影響を受けやすいため、毎日食前、同じ時間に診るようにしましょう。また、光の影響や長時間舌を出しっぱなしにしていると色が変わってくるので、明るい自然光の中で、力を抜いて斜め下に出しながら10秒くらいを目安に診ましょう。
舌の色から分かること
<赤みが強い:熱タイプ>
- 身体に熱がある時や、水分不足でのぼせやほてりがある
<白っぽい>
- 身体を温める力が少なく冷えている、気血(エネルギーや栄養)が不足している
<黒~紫っぽい>
- 血流が悪い、冷えがある
- 舌の裏側をみると、静脈が黒く浮き出ている場合が多い
舌の形からわかること
<痩せて細い>
- 身体に必要な気血(エネルギーや栄養素)、水分が不足してる
<大きく腫れぼったい、舌の淵に歯形が残っている>
- 水分の代謝が悪く、浮腫みや冷え、エネルギーが不足している
- 胃腸の機能が低下している
<表面に亀裂がある>
- 水分不足や、気血(エネルギーや栄養)ともに足りていない状態
- 身体に熱がこもって炎症している
苔の状態から分かること
<白い苔>
- 白い厚い苔が湿っている場合は、身体が冷えている
<黄色い苔>
- 身体に熱がある、食べすぎにより胃に熱がある
<ところどころ舌苔がはがれる>
- 舌苔が生やせない、作れないなどの気血(エネルギー、栄養素)が不足している
- 胃腸の機能の低下
この夏の時期、なりやすい舌とケア
秋に近づき、だんだん涼しくなっていきますが、まだまだ暑い残暑は続きます。この暑さで食欲不振や冷たいものの飲みすぎ、身体にだるさを感じている人は多いのではないでしょうか?
身体に熱がこもると舌は赤っぽくなり、胃腸機能の低下で水分代謝が悪くなると舌は大きく腫れぼったく、舌の周りに歯形が残るようになります。
このような時は身体の熱を取り除くトマトやキュウリなどの夏野菜を積極的に摂ってほしいのですが、夏野菜は身体を冷やす働きもあります。そこで、舌の状態を診ながら、身体を温める大葉や生姜などの香味野菜と一緒に摂ったり、加熱して工夫するのもひとつの方法です。また、黒豆や緑豆などの豆類は身体の余分な水分を取り除く働きがあります。
そのほかに、食べ物だけではなくよく噛んで食べるといった「食べ方」を気を付けるだけでも、むくみの予防につながります。
今回紹介したのは一部ですが、毎日舌を診る習慣をつけることで、身体のちょっとした変化に気がつくようになります。いつもと違うな、と感じたら今の体調や気持ちと向き合ってみるのもいいでしょう。
担当管理栄養士:相川朋世
担当管理栄養士:相川朋世
参考文献
- 日本中医食養学会「現代の食卓に生かす「食物性味表」改定2版」(株)平河工業社(2014)
- 伊藤隆、他「ココロとカラダの不調を改善する やさしい東洋医学」株式会社ナツメ社(2016)
- 平地治美、「舌を、見る、動かす、食べるで健康になる!」日貿出版社(2015)