高尿酸血症・痛風における改善のポイント/大嶋浩俊
高尿酸血症・痛風は、昔は贅沢病と言われてきました。今ではあまり聞かれないかもしれませんが、実は高尿酸血症は成人男性の20~30%に見られる身近な病気なのです。高尿酸血症を基盤として発症する痛風も、男性では100万人を超えるほど増加しました。
今回は高尿酸血症・痛風における改善のポイントについてお話します。
他には、低脂肪乳製品、コーヒーなども痛風リスクを低下させる効果があるとされています。
2019年9月11日
今回は高尿酸血症・痛風における改善のポイントについてお話します。
高尿酸血症・痛風について
体内で不要になったプリン体は、尿酸に変えられて尿などに排出されますが、尿酸が異常に過剰になると血液中に蓄積され、高尿酸血症となります。また痛風は、高尿酸血症により過剰に蓄積された尿酸が結晶化して尿酸塩となり、これが関節に沈着して特異的な急性関節炎を起こした状態を言います。
痛風になりやすいのは主に男性です。女性は女性ホルモンの影響で尿酸を排出する作用があるので、疾患になりにくいと考えられています。痛風患者の比率は男女比で約10対1となっています。
主な原因
高尿酸血症は遺伝的因子もありますが、生活習慣による因子もあります。それは、過食、プリン体や果糖の過剰摂取、運動不足による肥満、アルコールの多飲などが挙げられます。また、高尿酸血症は単独で存在することは少なく、メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症、肥満などの生活習慣病を合併していることが多いのです。
高尿酸血症・痛風におけるアプローチ
体重コントロール
多くの肥満者は食事量そのものが多いため、プリン体、たんぱく質、脂質、アルコールなどの過剰摂取になっている場合が多いです。今の量よりも少し減らすようにし、体重コントロールが出来るようになってくると必然的に尿酸値だけでなく、生活習慣病の状態もよくなります。
過度な運動ではなく、簡単な有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリングなど)でも尿酸値を下げる効果があります。
過度な運動ではなく、簡単な有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳・サイクリングなど)でも尿酸値を下げる効果があります。
アルコールとの付き合い方
アルコールはどんなお酒であっても、アルコールを分解する過程で尿酸の産生を上げます。ビール・発泡酒はアルコールであり、それ自体にもプリン体が含まれるため、より尿酸値を上げやすい飲み物です。
しかし、初めはアルコールをまったく飲まないのではなく、
しかし、初めはアルコールをまったく飲まないのではなく、
- 過度の飲酒を控える(ビールなら350ml1本・ワイン150ml・日本酒1合程度)
- 毎日は飲まないようにする
- ビール以外のものにする
- 飲酒時には水分を十分に摂る
などを心掛けるようにしましょう。
積極的に摂るべき食品
尿のpHを緩和するためにも野菜や海藻類、適度な果物の摂取がオススメとなります。また、これらは水分・ビタミン・ミネラルの摂取にもなります。特にビタミンCは血清尿酸値低下作用と痛風リスク低下作用があることが報告されているので、色々な食品から摂れると良いです。
他には、低脂肪乳製品、コーヒーなども痛風リスクを低下させる効果があるとされています。
最後に
高尿酸血症は自覚症状がなく、痛風発作はいったん痛みが治まるため、治療がおろそかになりがちになります。放置すると痛風だけではなく、腎不全や心筋梗塞、脳卒中などの合併症になることもあります。
健康診断の結果で目を背けるのではなく、しっかり今までの食生活や生活習慣を振り返って、出来るところから改善していくことが大事になります。
担当管理栄養士:大嶋浩俊
健康診断の結果で目を背けるのではなく、しっかり今までの食生活や生活習慣を振り返って、出来るところから改善していくことが大事になります。
担当管理栄養士:大嶋浩俊
参考文献
・臨床栄養 「高尿酸血症と痛風における生活指導の最前線」医歯薬出版株式会社 2019.8
・臨床栄養「病棟管理栄養士のための臨床検査ファーストガイド」医歯薬出版株式会社 2018.9 臨時増刊号
・岡庭 豊 「病気が見える vol.3 糖尿病・代謝・内分泌 第2版 メディックメディア 2009.6.5
・中村 丁次 「第3版 栄養食事療法必携」 医歯薬出版株式会社 2009.1.20
・高尿酸血症・痛風のガイドライン改定第3版発刊のお知らせ
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
https://www.tukaku.jp/wp-content/uploads/2018/12/gl2018-12.pdf 2019.9.1閲覧
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