実は足りてない?ビタミンDのおはなし/菊地美里
皆さん、一度はビタミンDというビタミンはどこかで聞いたことがあると思います。ビタミンDは干し椎茸に多いという話もなんとなく知っている人も多いのではないのでしょうか。
最近、このビタミンDが足りていない人が実は多いということがわかってきました。今回は、最近研究でわかってきた色々なビタミンDの効果にも触れながら、ビタミンDについて述べていきます。
ビタミンDは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつです。ビタミンDが私たちの身体に供給される方法は2つあります。
一つは、私たちの体内で生成されることによる供給です。日光に含まれる紫外線を浴びることで、私たちの皮膚に存在するビタミンDの前駆体が活性化されることでビタミンDが体内で生成されます。
もう一つは、きのこ類等のビタミンDを含む食品を食べることによる供給です。鮭、サンマ、しらす干し、干ししいたけ、きくらげ等に多く含まれています。
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2019年10月 9日
最近、このビタミンDが足りていない人が実は多いということがわかってきました。今回は、最近研究でわかってきた色々なビタミンDの効果にも触れながら、ビタミンDについて述べていきます。
ビタミンDのきほんの「き」
ビタミンDは、油脂に溶ける脂溶性ビタミンのひとつです。ビタミンDが私たちの身体に供給される方法は2つあります。
一つは、私たちの体内で生成されることによる供給です。日光に含まれる紫外線を浴びることで、私たちの皮膚に存在するビタミンDの前駆体が活性化されることでビタミンDが体内で生成されます。
もう一つは、きのこ類等のビタミンDを含む食品を食べることによる供給です。鮭、サンマ、しらす干し、干ししいたけ、きくらげ等に多く含まれています。
ビタミンDの機能と役割
骨の形成と成長の促進
骨の形成は、代表的なビタミンDの機能です。腸や腎臓でカルシウムとリン酸の吸収を促すことで、骨格や歯を発育促進します。そのため、ビタミンDが不足すると、子どもの場合は骨の成長障害が起こり、姿勢が悪くなったり、足の骨が曲がったり、くる病になったりします。成人、特に妊婦や授乳婦では、骨の軟化がおこり骨軟化症になります。
免疫コントロールや花粉症の改善も
ビタミンDには細菌やウイルスを殺したり、バリア機能を高めたりする抗菌ペプチドを体内で生成させる働きがあります。また、適切な免疫抗体の産生を促すことで、花粉症を根本的に改善することもわかってきています。
冒頭に記載しました通り、ビタミンDは日光の紫外線を浴びること供給されるので、冬場に風邪やインフルエンザにかかりやすくなるのは、日照時間の少なくなり体内の活性化ビタミンDが少なくなることも一因だと言われています。
また、ビタミンDの免疫に関わる効果は、妊娠とも関係していることがわかってきており、最近の研究では、受精卵の子宮内への着床やその後の妊娠の維持にも関わっていることも明らかになってきています。
ビタミンDの充分な血中濃度は30ng/ml以上で充分だと言われていますが、血中濃度30ng/ml未満の方が多いのが現状です。確かに、ビタミンDの過剰摂取は高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害等を引き起こす場合があります。しかし、昨今は、個人差はあるもののデスクワークの方が多く、日焼け対策に関心も高いので、日光にあたる機会は昔より減っている傾向にあります。
そのため、日に当たることで活性化するビタミンDが不足しやすい環境下にある方が多いです。サプリメント等で活性化ビタミンDを摂取している方以外は、過剰摂取よりも不足に気をつけた方がよいでしょう。病院では血中のビタミンD濃度を測ることができ、自分にビタミンDが足りているかどうか調べられるので、気になる方はかかりつけの病院で相談をしてみるとよいかもしれません。
冒頭に記載しました通り、ビタミンDは日光の紫外線を浴びること供給されるので、冬場に風邪やインフルエンザにかかりやすくなるのは、日照時間の少なくなり体内の活性化ビタミンDが少なくなることも一因だと言われています。
また、ビタミンDの免疫に関わる効果は、妊娠とも関係していることがわかってきており、最近の研究では、受精卵の子宮内への着床やその後の妊娠の維持にも関わっていることも明らかになってきています。
ビタミンDの充分な血中濃度は30ng/ml以上で充分だと言われていますが、血中濃度30ng/ml未満の方が多いのが現状です。確かに、ビタミンDの過剰摂取は高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害等を引き起こす場合があります。しかし、昨今は、個人差はあるもののデスクワークの方が多く、日焼け対策に関心も高いので、日光にあたる機会は昔より減っている傾向にあります。
そのため、日に当たることで活性化するビタミンDが不足しやすい環境下にある方が多いです。サプリメント等で活性化ビタミンDを摂取している方以外は、過剰摂取よりも不足に気をつけた方がよいでしょう。病院では血中のビタミンD濃度を測ることができ、自分にビタミンDが足りているかどうか調べられるので、気になる方はかかりつけの病院で相談をしてみるとよいかもしれません。
*妊娠に関わる栄養についてもっと知りたい方はこちらのコラムも是非お読みください。
「管理栄養士が教える妊娠に近づく効果的な栄養素とは?」
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実際に、痛みや症状を伴わないと自分の健康を疑うのは難しいかもしれませんが、何か不調が見つかる前に少し自分の身体に目を向けて、予防を心がけましょう。
担当管理栄養士:菊地美里
担当管理栄養士:菊地美里
参考文献
- 菱田明、佐々木敏「日本人の食事摂取基準(2015年版)」第一出版株式会社(2014)
- Nick VoulgarisLabrini PapanastasiouGeorge PiaditisAnna AngelousiGregory KaltsasGeorge MastorakosEva Kassi. Vitamin D and aspects of female fertility,Hormones,January 2017, Volume 16, Issue 1, pp 5–21
- Yuko Ikemoto,Keiji Kuroda,Koji Nakagawa,Asako Ochiai, Rie Ozaki,Keisuke Murakami,Makoto Jinushi,Akemi Matsumoto,Rikikazu Sugiyama and Satoru Takeda,Vitamin D Regulates Maternal T-Helper Cytokine Production in Infertile Women,Nutrients. 2018 Jul 13;10(7). pii: E902. doi: 10.3390/nu10070902.
- 香川明夫「七訂食品成分表2017」女子栄養大学出版部(2019)
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