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  1. 国際中医薬膳師が教える!産前産後のトラブル改善法➀/相川朋世

国際中医薬膳師が教える!産前産後のトラブル改善法➀/相川朋世

新たな命が芽生えてから約十カ月かけ、数ミリ程度しかなかった受精卵が約三千グラムの胎児となります。その間つわりに始まり体重の増加、むくみなど、母体にも多くの変化があり、受け入れるのも一苦労です。

身体に出る症状を「しょうがない」と割り切るのもひとつですが、食べ物で少しでも軽くできれば出産に向けた安心感につながるのではないでしょうか。そこで今回は、産前産後のトラブルの改善方法をコラムで紹介します。
 
 

まずは「気」を補う

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「気」は目には見えないエネルギー源で、飲食物から得られます
簡単にいうと「元気の源」であり、
  1. 血液循環や代謝を促す
  2. 身体を温める
  3. 免疫機能
  4. 必要なものを作り出す
  5. 固摂作用 
などの働きがあります。中医学では胎児は“血の塊”とも言われています。

「気血同源」という言葉があり、気血はお互いに変化することができますが、気が不足すれば血を作れません。胎児の成長に限らず、切迫流産や母体の体力や精神状態にも関わります

 

気を補う食べ物

気を補う「補気」の作用を持つ食材の代表はお米です。お米を中心とした食事を意識してみましょう。匂いが気になる時は、炊き立てではなくお茶碗に移して少し冷ましてから食べると食べやすくなります。

お肉では鶏肉がオススメです。とくに気血を補う手羽肉と身体を温め胃腸の調子を整える生姜を一緒に煮こむと簡単に参鶏湯風スープが作れます。他には、芋類、豆類、キノコ類を食卓に並べるようにしましょう

 

妊娠中のつわりを改善したい


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妊娠すると多くの人が感じるのはつわりではないでしょうか。その程度や症状は食欲の不振、吐き気や嘔吐など人それぞれです。この吐き気やムカつき、食欲不振の原因は気の停滞、気の逆流、水の停滞によって消化吸収を担う脾の働きが悪くなったためと考えられます。

気の停滞や逆流は精神的な不安からも生まれます。そのため、まずはリラックスしましょう。妊娠をしても仕事を続けたり、家事もしなきゃと頑張りすぎると酷くなることがあります。そんな時はゆっくりと座って、休憩しましょう。
 

つわりを改善する食べ物

香りの良いジャスミンティーや柑橘類の果物は停滞した気の巡りを改善してくれます。ジャスミンティーに陳皮やミントを入れると飲みやすく気持ちも吐き気も少しスッキリします。また冷えも体には良くないので、生姜や紫蘇など薬膳では体を温めると位置づけられている食材も、脾の働きをサポートする効果も持つためオススメです。食べられる時によく噛んで、ゆっくり食べるようにしてください。
 
 

妊娠中の便秘・痔の予防と改善

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妊娠中は大きくなった子宮が大腸を圧迫して便秘になりやすくなります

つわりであまり食べられなかったり嘔吐があると便秘に繋がります。また、便が硬く力まないとうまく出ないと、切れ痔になりやすく、冷えや血の滞りで下半身の巡りが悪いとイボ痔にもなりやすく産後にも痛みで悩むことがあります。妊婦は貧血になりやすいですが、この「血虚」の状態は便が乾燥して出にくく、痔になりやすくなります。

 

便秘・痔を改善する食材

血虚の固い便の場合はレバーや赤肉、黒豆や木耳(きくらげ)などの黒い食材を意識して食べるようにしましょう。また、薬膳で腸を潤すといわれているクルミや松の実、ゴマ、はちみつなどがオススメです。クルミをはちみつに漬けておくと、手軽に食べられておススメです。

座ったままでは血行が悪くなってしまうため、少し歩いたり、伸びをして気血が流れるように深呼吸をしましょう。冷えは血行を悪くするため、冷たい飲み物や生野菜を控え、お腹と腰を温めるようにしてください

 
妊娠中は、胎児に栄養を与えるために母体は疲れやすく様々な不調を感じます。産後は自分のことより子供のことを一生懸命になり、さらに疲れてしまいます。産前に少しでも不調をなくすことが産後の身体への影響を少なくしてくれると思うので、少しでもマタニティ生活が楽になるようお手伝いできればうれしいです。


担当管理栄養士:相川朋世


参考文献                                      
  • 薬日本堂、「薬膳・漢方の母子健康帳」実業之日本社(2012)
  • 日本中医食養学会「現代の食卓に生かす「食物性味表」改定2版」(株)平河工業社(2014)
  • 伊藤隆、他「ココロとカラダの不調を改善する やさしい東洋医学」株式会社ナツメ社(2016)



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