国際中医薬膳師が教える!産前産後のトラブル改善法②/相川朋世
産前産後は身体だけでなく精神面でも不調になることが多く、なんとなく落ち着かない日が続きます。
前回のコラムでは、つわりと便秘・痔の原因とおすすめの食材を紹介しました。
今回は胃腸の整え方とむくみ、花粉症の予防・改善法をご紹介します。なかなか薬が飲めない妊娠中は食事の力で少しでも不調を取り除けるようにしましょう。
中医学で「血」は血液と同様に身体中を巡り酸素と栄養を届ける働きの他に、精神面にも関わると考えられています。
「血」の不足は貧血やこむら返りの原因になるほか、情緒不安定や不眠、多夢、妊娠中は切迫流産や胎児の成長にも関わります。また、妊娠中期になる頃、つわりが治まると、食べたいだけ食べてしまったり、反対にお腹が大きくなり胃が圧迫されて食べたくても食べられない、といったことも起きます。
食べたものをしっかり「気」「血」にかえて、胎児にも母体にも栄養素を送り届けるためには胃腸のケアは欠かせません。
妊娠後期になると、手足や顔がむくんだり、腰痛やお腹の張りなどの不調も多くなってきます。
中医学において、むくみの原因は、「水」の巡りが悪くることが原因と考えられています。また、成長や生殖に関わる「腎」が弱ると水分代謝が悪くなることがあります。水は下に落ちる性質を持つので下半身がむくみ、重だるくなることが多いため、日中にお散歩や家事をするなど、少し動くことを意識しましょう。また、お風呂でふくらはぎをマッサージするのもおすすめです。
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2020年3月11日
前回のコラムでは、つわりと便秘・痔の原因とおすすめの食材を紹介しました。
今回は胃腸の整え方とむくみ、花粉症の予防・改善法をご紹介します。なかなか薬が飲めない妊娠中は食事の力で少しでも不調を取り除けるようにしましょう。
「血」を補い、胃腸を整える
中医学で「血」は血液と同様に身体中を巡り酸素と栄養を届ける働きの他に、精神面にも関わると考えられています。
「血」の不足は貧血やこむら返りの原因になるほか、情緒不安定や不眠、多夢、妊娠中は切迫流産や胎児の成長にも関わります。また、妊娠中期になる頃、つわりが治まると、食べたいだけ食べてしまったり、反対にお腹が大きくなり胃が圧迫されて食べたくても食べられない、といったことも起きます。
食べたものをしっかり「気」「血」にかえて、胎児にも母体にも栄養素を送り届けるためには胃腸のケアは欠かせません。
「血」を補いながら、胃腸を整える食べ物
胃腸の調子を整えるポイントは、次の5つに気を付けることです。
➀冷たいもの
②油分の多いもの
③甘いもの
④味の濃いもの
⑤水分の摂りすぎ
つわりが治まり食欲が出て来て、ついつい好きなものを食べてしまいがちですが、この5つのポイントに気を付けながら食べるようにしましょう。胃腸の負担を除き、母体と胎児にしっかり「気」「血」が行き届くようにすることが大切です。
黒米、黒砂糖、黒豆の黒い食材、小松菜、青梗菜、人参といった色の濃い野菜は血を補いながら胃腸の調子を整えることができます。また、色の濃い野菜には胎児の成長や神経管閉鎖障害のリスク低減のために欠かせない葉酸も含まれています。
一回にあまり食べられないときは、少量に分けて食べるように心がけましょう。
妊娠中の浮腫みの予防と改善法
妊娠後期になると、手足や顔がむくんだり、腰痛やお腹の張りなどの不調も多くなってきます。
中医学において、むくみの原因は、「水」の巡りが悪くることが原因と考えられています。また、成長や生殖に関わる「腎」が弱ると水分代謝が悪くなることがあります。水は下に落ちる性質を持つので下半身がむくみ、重だるくなることが多いため、日中にお散歩や家事をするなど、少し動くことを意識しましょう。また、お風呂でふくらはぎをマッサージするのもおすすめです。
むくみを改善する食べ物
むくみを解消するには、水の巡りをよくする利水作用のある食べ物や水分代謝に関わる「腎」を補う補腎作用のある食材を食べるようにしましょう。
トマトやナス、キュウリなどのウリ科の食材には利水作用がありますが、身体を冷やす作用もあるため火を通したり、生姜やネギなど身体を温める食材と一緒に料理して食べるようにします。他には、豆類の小豆や緑豆もよく、中でも小豆は母乳の出がよくなるといわれています。小豆を煮るときは黒糖で煮ると水分代謝もよく、血も一緒に補うことができます。貝類やノリやワカメなどの海産物も腎を補い水分代謝もよくします。手軽に飲めるお茶では、トウモロコシのヒゲ茶やハトムギ茶がオススメです。
トマトやナス、キュウリなどのウリ科の食材には利水作用がありますが、身体を冷やす作用もあるため火を通したり、生姜やネギなど身体を温める食材と一緒に料理して食べるようにします。他には、豆類の小豆や緑豆もよく、中でも小豆は母乳の出がよくなるといわれています。小豆を煮るときは黒糖で煮ると水分代謝もよく、血も一緒に補うことができます。貝類やノリやワカメなどの海産物も腎を補い水分代謝もよくします。手軽に飲めるお茶では、トウモロコシのヒゲ茶やハトムギ茶がオススメです。
花粉症の予防と改善法
まずは、胃腸の調子を整えて消化吸収をしっかりして身体に栄養を行き渡らせることが大切です。花粉症でも鼻水がだらだら出る方は冷えや水の巡りが原因なことも多く、鼻詰まりや目のかゆみは熱が原因とも考えられるので、症状ごとに気を付けるようにしましょう。
花粉症を改善する食べ物
最初に書いた胃腸の調子を整える5つのポイントに気を付けることを基本に、冷えの花粉症では身体を温めることを意識しましょう。ネギや生姜などの香味野菜や胡椒や唐辛子などの香辛料を取り入れます。熱の花粉症にはこもっている熱を追い出すため、白菜や蓮根などの白い食材やミントや菊花のハーブティーがオススメです。
妊娠初期・中期・後期で現れる症状も変わってくるので、その都度その症状を軽くできる方法を知っていると、少し安心できるかもしれません。不安がある時は家族や医者に相談するようにして一人で悩まないようにして心のケアをすることも大切です。
参考文献
- 薬日本堂、「薬膳・漢方の母子健康帳」実業之日本社(2012)
- 日本中医食養学会「現代の食卓に生かす「食物性味表」改定2版」(株)平河工業社(2014)
- 伊藤隆、他「ココロとカラダの不調を改善する やさしい東洋医学」株式会社ナツメ社(2016)
相川朋世執筆コラム
●国際中医薬膳師が教える!産前産後のトラブル改善法➀