アラフィフ管理栄養士が実践する!二十四節気に学ぶ食べ方③/木村みえこ
春らしい暖かさになり桜やモクレン、ミモザや沈丁花などがきれいに花を咲かせていますね。
1年で1番春らしく暖かい日が続くこの時期は、気分も明るくなりウキウキした気持ちになりますね。そんな気分とは裏腹に、鼻や目、皮膚の症状などのアレルギー症状や頭痛、めまいや不眠などの症状が出やすくなりますので、体調管理は欠かせません。
●アラフィフ管理栄養士が実践する!二十四節気に学ぶ食べ方①
●アラフィフ管理栄養士が実践する!二十四節気に学ぶ食べ方②
2020年4月15日
さて、4月19日は二十四節気の穀雨です。今回も前回に続き、日本人が昔から大切にしてきた季節ごとの習慣と、食べ方のコツをお伝えします。
二十四節気とは
日本では江戸時代からこの暦が使われており、人々の生活に根付いていったもので、この二十四節気をもとに季節の行事や農作業が行われていました。そして、その季節にその土地で収穫したものを食べて太陽や大地のパワーを補給し、季節ごとの体調管理に役立てていたのです。4月4日から18日頃は清明(せいめい)といい、若葉の緑が美しく春の花が咲き乱れる季節です。
4月19日からは「穀雨(こくう)」といわれる時期を迎えます。
「穀雨」の意味をご存じですか
春に降る雨は、作物や草木にとっては恵みの雨です。田畑を潤し、穀物の成長には欠かせない雨が降る時期で種まきによい時期とされてきました。雨が降るといっても、特に雨の量が多いということではありませんが、このころから雨量が多くなり始め稲や野菜や草木がぐんぐん成長していくのです。
穀雨が終わる頃の5月2日は八十八夜を迎え農作業は本格化していきます。
この八十八夜は日本独自の節目で、「夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る あれに見えるは茶摘みじゃないか 茜襷に菅の笠」と歌うように、茶摘みというイメージが強いのではないでしょうか。
このころはお茶の新芽も生えそろうころで、この新芽は「長寿のお茶」といわれ縁起物とされており香りも格別です。この日は八十八夜に合わせて「緑茶の日」に制定されているのだそうですよ。新茶は飲んでおいしいのはもちろん、柔らかいので料理にして食べても楽しめます。
緑茶同様、この時期に旬を迎える食材はアサリや真鯛、タケノコやごぼう、木の芽などがあります。毎年潮干狩りに出かけるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
気候としては、春らしい日々が続くので過ごしやすい時期です。夏を迎える前に体調を整えておくとよいでしょう。
旬の食材を無理なく取り入れてみよう
1年で1番春らしく暖かい日が続くこの時期は、気分も明るくなりウキウキした気持ちになりますね。そんな気分とは裏腹に、鼻や目、皮膚の症状などのアレルギー症状や頭痛、めまいや不眠などの症状が出やすくなりますので、体調管理は欠かせません。
そして、「花冷え」という言葉があるように上半身は暖かいのに下半身は冷えて困るということが起こります。特にアラフォー、アラフィフといわれる世代の女性は冷えると様々な不調が表れやすくなりますので、暖かくなったとはいえ油断は禁物です。
薬膳の考え方では春は「肝」を養生する季節です。「肝」は気や血の流れをコントロールしていると考えられおり「巡りをよくする」食事をすると「肝」の働きも高まるといわれています。ストレスにより自律神経のバランスが崩れやすい時期でもありますが、今年は特に例年ストレスを感じないような人でもストレスを抱える傾向にありますので、食事も体調管理の一つとして取り入れてみるといいですね。
木の芽やセロリ、シソやネギのような香りの強い野菜は「巡りをよくする」ことを助けストレス解消に役立つといわれています。また柑橘類などの酸味は「肝」の働きを高めるといわれていますので、摂りすぎは禁物ですが、料理に上手に取り入れてみるといいですね。
例えば、春が旬の鯛やアサリを酒蒸しにしたり、お吸い物にしたり、炊き込みご飯にして、木の芽やレモンを添えたりするとおいしい春の養生食の出来上がりです。
タケノコやキャベツ、セロリ、ブロッコリーといった旬の野菜はたっぷりとみそ汁に入れて、よく噛んで食べると内臓がしっかり動いて冷えの解消やストレス解消、病気の予防につながります。
どうでしたか、昔から日本人が大切にしてきた食養生。
食養生と聞くと、難しいものだと感じるかもしれませんが、そんなことはありません。「旬のものを自分の体調に合わせて食べる」というとてもシンプルなものです。その土地で採れた旬の食材にはパワーがたっぷり含まれています。大地の恵みをいただいて体調管理に役立ててみましょう。
参考文献
- 三城円「1週間で体が変わる 食べながらやせるすごい方法」サンマーク出版(2019)
- 高月美樹 瀬戸口しおり「にっぽんの七十二候」枻出版(2016)
- 本間美加子「日本の365日を愛おしむ―毎日が輝く生活歴 東宝出版(2019)
- 吉川信 佐藤弘 「東洋医学の基本講座」成美堂出版(2016)
木村みえこ執筆コラム
●管理栄養士が実践する!腸内環境の整える方法●アラフィフ管理栄養士が実践する!二十四節気に学ぶ食べ方①
●アラフィフ管理栄養士が実践する!二十四節気に学ぶ食べ方②