国際中医薬膳師が教える!産前産後のトラブル改善法③/相川朋世
産前のトラブル改善法を2回にわたり紹介し、今回は産後のトラブル改善法をお伝えします。
産前はつわりやむくみなどの身体的な症状に悩まされますが、産後は不眠や鬱など精神的な症状に悩まされる方もいらっしゃるかもしれません。家族のサポートも大事ですが、食事の力で症状を軽くすることができます。
出産はお母さんにとって身体的にも精神的にもエネルギーが必要です。人それぞれですが、初産では数十時間という長い間陣痛に耐えなければなりません。最近では無痛分娩の方も多くなり痛みは軽減できますが、身体にかかるダメージは変わりません。
「血」は東洋医学と同じく、栄養素や酸素を身体中に届ける働きの他、精神活動に関わるといわれています。
産後鬱、育児ノイローゼ、不眠、抜け毛、肌のかさつき、便秘といった症状のすべてが血の不足が関わっていると考えることができます。今まで書いてきたように以下の食材を積極的に食事に取り入れるほか、症状別に一緒に摂ってほしい食材を紹介します。
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2020年5月 6日
産前はつわりやむくみなどの身体的な症状に悩まされますが、産後は不眠や鬱など精神的な症状に悩まされる方もいらっしゃるかもしれません。家族のサポートも大事ですが、食事の力で症状を軽くすることができます。
産後の身体は「血」が不足する
出産はお母さんにとって身体的にも精神的にもエネルギーが必要です。人それぞれですが、初産では数十時間という長い間陣痛に耐えなければなりません。最近では無痛分娩の方も多くなり痛みは軽減できますが、身体にかかるダメージは変わりません。
出産は大量の出血を伴うため、誰でも血の不足した「血虚」の状態となります。産後は1ヶ月ほど悪露という子宮の内側から粘膜や血液などが排出され続け、血を失います。さらに、母乳の素は血なので、産後はとにかく血を補充し続けなければいけません。
「血」の不足で起こるトラブルと改善法
「血」は東洋医学と同じく、栄養素や酸素を身体中に届ける働きの他、精神活動に関わるといわれています。
産後鬱、育児ノイローゼ、不眠、抜け毛、肌のかさつき、便秘といった症状のすべてが血の不足が関わっていると考えることができます。今まで書いてきたように以下の食材を積極的に食事に取り入れるほか、症状別に一緒に摂ってほしい食材を紹介します。
<血を補うオススメの食材>
黒豆・黒米・黒ゴマ・レバー・赤身の肉・かつお・うなぎ・あじ・サンマ・ひじき・ほうれん草・にんじん・金針菜・なつめ・レーズン・プルーン・ブルーベリー・クコの実
抜け毛対策
髪は「血余」といわれており、全身に血を送った残りの血が髪の毛になると考えられます。また髪は「腎の華」とも言われていますが、出産で生命のエネルギー源である腎の「精」が使われるので、腎を労わる食事を心がけるようにしましょう。
産後すぐも「血虚」の状態ですが、産後半年頃になるともともとの「血虚」の状態に加え、さらに母乳を飲む量も増えるので髪の毛がごっそり抜けることがあります。
産後すぐも「血虚」の状態ですが、産後半年頃になるともともとの「血虚」の状態に加え、さらに母乳を飲む量も増えるので髪の毛がごっそり抜けることがあります。
<抜け毛にオススメの食材>
山芋・オクラ・昆布・黒キクラゲ・なまこ・くるみ・栗・エビ・牡蠣
産後鬱、育児ノイローゼ&不眠対策
血を蓄え、気の流れをコントロールする「肝」と、血を巡らせ精神をコトロールする「心」の血が不足すると、産後鬱や育児ノイローゼというように塞ぎこんでしまったり、些細なことでイライラしてしまいます。また、不眠の原因も同様で肝と心が関係し、いろいろと考え事が止まらずに入眠に時間がかかるといったことが起こります。約2時間ごとに授乳がある時期はただでさえ寝不足になるのに加え、眠れず母乳も出にくく、疲れ切ってしまいます。
<産後鬱、育児ノイローゼ&不眠にオススメの食材>
グレープフルーツ・ゆず・トマト・紫蘇・セロリ・三つ葉・カイワレ大根・百合根・蓮の実・酢・ペパーミント・牡蠣・しじみ・あさり・いか・たこ・ジャスミン茶・ミントティー
肌の乾燥&便秘対策
「肌は内臓の鏡」というように、胃腸の機能の低下や便秘など内臓の不調は肌に出やすいです。産後は自分のケアより子どもに意識が向きやすいので、体の中から潤し便秘も肌の乾燥を予防しましょう。
<肌の乾燥&便秘におススメの食材>
豚肉・豆乳・豆腐・牛乳・白木耳・松の実・はちみつ、くるみ
今回のコラムで紹介した食材も特別な食材はなく、スーパーでも売っているものを紹介しています。
産前も血を補うことを勧めていましたが、継続して黒色の食材・色の濃い野菜などを意識し、それに加えて予防したい症状や出てきてしまった症状に当った食材を一緒に摂るようにします。特徴を簡単にまとめるとこのようになります。
産前も血を補うことを勧めていましたが、継続して黒色の食材・色の濃い野菜などを意識し、それに加えて予防したい症状や出てきてしまった症状に当った食材を一緒に摂るようにします。特徴を簡単にまとめるとこのようになります。
➀血や腎に効く食材:黒色の食材・動物性食品
②気の巡りをよくする食材:柑橘類などの香りのある食材
③肌を潤す食材:白色の食材
産後は育児の不安も加わり気持ちも不安定になりやすいですが、毎日の食事と家族のサポートで楽しい時間にしてくださいね。
参考文献
- 薬日本堂「薬膳・漢方の母子健康帳」実業之日本社(2012)
- 日本中医食養学会「現代の食卓に生かす「食物性味表」改定2版」(株)平河工業社(2014)
- 伊藤隆、他「ココロとカラダの不調を改善する やさしい東洋医学」株式会社ナツメ社(2016)
相川朋世執筆コラム
●国際中医薬膳師が教える!産前産後のトラブル改善法➀
●国際中医薬膳師が教える!産前産後のトラブル改善法②