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  1. 知れば怖くない!食物アレルギーについての基礎知識②/若林由香里

知れば怖くない!食物アレルギーについての基礎知識②/若林由香里

新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、自宅でお料理やパン、お菓子作りをする機会が増えたようで、スーパーではバターや小麦粉、その他の粉ものなどの商品が品薄になっているようですね。

この状況は、アレルギーがあるお子さんを持つご家庭では死活問題につながります。それは、経口免疫療法(減感作療法)を行っているお子さんは決められた日数、決められた量のアレルゲンとなる食べ物を摂取しなければならないからです。

アレルギーを発症する可能性は誰にでもあります。万が一の時の為に、知識を持っておくのはいかがでしょうか?

 

5つに分類 タイプ別の食物アレルギー

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その1 即時型食物アレルギー

一般的に知られているアレルギーで、食後2時間以内に赤み、蕁麻疹、痒み、まぶたや唇の腫れ、鼻水、鼻づまりなどの症状がみられます。呼吸困難、咳、嘔吐、意識や血圧の低下など複数の臓器による重篤な症状が現れることを「アナフィラキシー」と言います。この症状が出た場合には、素早く、適切な処置が必要になるので、対応の手順を確認しておきましょう。

 

その2 新生児・乳児消化管アレルギー

粉ミルクや母乳中の食物たんぱくによって起こるアレルギーで、下痢や血便、嘔吐などの消化器症状が現れます。IgE抗体より、細胞性免疫が関与していると考えられています。発症頻度が高いのは、牛乳を原料とする粉ミルクです。このアレルギーは成長とともに治る傾向が高いので、医師の指導のもとアレルギー用ミルクで対応します

 

その3 食物アレルギーが関与する乳児アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは一緒ではありません。アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下することで起きています。そこからアレルゲンが入り込むことで食物アレルギーを発症します。アレルゲンを除去し、皮膚症状が改善しても発症してしまった食物アレルギーが治ったわけではないので、自己判断はしないようにしましょう

 

その4 口腔アレルギー症候群

果物や野菜のたんぱく質と花粉のたんぱく質が類似していて、交差抗原性が原因で発症します。花粉症によるIgE抗体を持っていると、体が新たなアレルゲンとして認識してしまうので口の中がピリピリしたり、痒み、腫れなどの症状が起こります。
代表的なのは、シラカンバのりんごやもものアレルギー、スギ花粉のトマトアレルギーです。成人でも発症します。子どもの場合は、花粉症に関係なく、果物摂取で起こることがあります。

 

その5 食物依存性運動誘発アナフィラキシー

食べるだけでは症状は出ませんが、食後2時間以内に運動することで症状が誘発されます。小麦や甲殻類が原因となることが多いようです。疑わしい食物を食べた時は、注意が必要です。


 
アレルギーの原因となるもの、症状の出方などは人それぞれ違うので、アレルギーの性質を理解することで食物アレルギーから身を守ることができます。疑わしい時は自己判断せず、受診をしましょう。

 
 

知っておきたい診断と検査方法

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正しく医師に伝えられるよう、その時の状況や症状をメモしておきましょう。
 
①問診(症状が出た時のことを記録しておくとよい)
・何を食べたか(食物の種類や調理法)
・どれだけ食べたか
・食べてから発症までの時間
・症状の持続時間
・症状の特徴
・症状の再現性

 
②検査
・血液検査(IgE抗体があるかどうか調べる)
・皮膚試験(プリックテスト、スクラッチテスト、20分間パッチテストなど)

 
③食物経口負荷試験(確定診断のための検査でやらないこともある)
 

④診断確定
 
正しい診断が出たら、次は食事療法です。
基本は「食べること」を目的とし、必要最小限の除去で行っていきます。怖がりすぎて除去食品を増やさず、QOLを落とさないようにしていきましょう。


 

除去食実施の3つのポイント

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①原因食物の除去
栄養低下を招かないように代替食品を上手に取り入れましょう。
 
②調理による低アレルゲン化
食品によっては加熱により低アレルゲン化するものがあります。
 
③低アレルゲン化食品の利用
牛乳アレルギー用ミルクや発酵、高温高圧加工などによって低アレルゲン化した食品を食べられることがあります。


 
除去食に慣れてしまうと、そのままの生活を続けがちですが、定期的に通院し食品除去の解除や食物経口負荷試験受けることも考えましょう。
 
乳幼児期に発症したアレルギーは成長とともに治ったり、症状が軽減していきます。一人で抱え込まず、医師や管理栄養士に相談しながら、正しい知識を持って安心して過ごしていただけたらと思います。
 
 
担当管理栄養士:若林由香里
 

 
参考文献
  • 「よくわかる食物アレルギー対応ハンドブック2014」 独立行政法人環境再生保全機構
  • 伊藤節子「親と子の食物アレルギー」講談社(2012)
  • 大谷智子・畔柳佳枝「現場で使える食物アレルギー児のための指導マニュアル」株式会社診断と治療社(2008)

若林由香里執筆コラム

授乳・離乳の支援ガイドが改定されました
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元お受験ママ管理栄養士が教える「免疫力」を高める食事
知れば怖くない!食物アレルギーについての基礎知識①

 
2020年5月20日

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