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  1. 異常な汗は不調のサイン?注意すべき汗のかき方と薬膳的改善法/相川朋世

異常な汗は不調のサイン?注意すべき汗のかき方と薬膳的改善法/相川朋世

夏も終わり、だいぶ涼しくなってきました。ジメジメと寝苦しさを感じていた真夏に比べ、空気も乾燥し、過ごしやすい秋ですが、涼しくなってきたのに「寝汗が止まらない!」「何もしていないのに汗が出てくる」という方、いらっしゃいませんか?

汗は体温調節をするのに必要不可欠ですが、必要以上に汗をかいてしまうのは、身体の不調のサインといえます。薬膳のベースである中医学では、注意すべき汗のかき方が「自汗」「盗汗」の2つあります。
 
 

エネルギー不足で起こる「自汗」

20200923_JPDAコラム_相川①.jpg
「自汗」とは、何もしていないのにダラダラと汗が止まらなくなる状態のことを言います。
汗っかきの人がよく「代謝がいいから汗が止まらなくて…」と言いますが、涼しいところに行っても汗が引かずに出続けてしまうのは、代謝がいいからではなく、「自汗」に当てはまります。
 
私たちの体表は「衛気(えき)」と呼ばれる「気」の一種が覆っています。身体を邪気から守るバリア機能があり、毛穴を開いたり閉じたりする機能も担っています。これが働いていないと毛穴が開いたままとなり、汗がどんどんと出て行ってしまいます。

この「自汗」タイプの人は、バリア機能が低いため、風邪をひきやすい、疲れやすい、やる気が起きないなどの不調を抱えていることが多いです。食事制限などの食べないダイエットをしている方は危険です。

 
●気を補う薬膳食材
「衛気」を養うには、私たちのエネルギーの源である「気」を補う必要があります
中医学では「補気(ほき)」といい、米や雑穀などの穀類(白米・赤米・ひえ)、芋類(じゃがいも・かぼちゃ・山芋)、豆類(大豆・大豆製品、枝豆)、きのこ類(しいたけ、まいたけ)は補気作用のある食材が多くあります。

サバやサンマなどの青魚や鶏肉などのタンパク質源も補気作用があり、毎食拳くらいの大きさをしっかり食べるようにしましょう。気が不足しているということは、過労やストレスも関わっているので、休養や睡眠はしっかり意識して、身体を冷やさないことも大切です。
 
 

潤い不足で起こる「盗汗(とうかん)」

20200923_JPDAコラム_相川②.jpg
もう一つの注意すべき汗のかき方は、身体の潤いが不足して起こる「盗汗」です。
この汗は、寝ている間にかく汗のことで、いわゆる寝汗のことを指します。夏は汗をかきやすいですが、室温を調節して寝ても汗をびっしょりかいてしまうのは要注意です。中医学では「陰虚」といい、身体を潤いが不足しているため、身体の熱を抑えることができずに熱がこもってしまい、異常な発汗に繋がります。

寝汗のほかに、めまいや手足や頬のほてり、尿量の減少を伴うことがあります。また、成長や老化に関わる臓器の「腎」も関わっており、早めに改善しないと更年期障害や白髪などの老化現象にも影響してしまいます
 
 
●身体を潤す薬膳食材
身体を潤すことを「滋陰」といい、白い食材は身体を潤すものが多くあります
豆乳や豆腐、しろきくらげ、れんこん、山芋、ハマグリ、アワビなどがあります。また、「腎」のケアをする食材は黒色の食材に多く、黒ゴマ、黒米、黒豆、他にエビ、クルミ、栗などもおすすめです。自汗の場合は、身体を冷やすトマトやナスなどの夏野菜は控えますが、盗汗の場合は食べて体を冷ますようにしましょう。
 
 
汗をたくさんかくと“代謝がいい”と思われがちですが、温度に関係なく汗をかいたり、寝汗を大量にかくなど、ちょっとおかしいと感じるような汗のかき方は、身体の不調を教えてくれるサインかもしれません。身体の変化に敏感になって、食事や生活を整えましょう。


担当管理栄養士:相川朋世

 
 
参考文献
  • 日本中医食養学会「現代の食卓に生かす「食物性味表」改定2版」(株)平河工業社(2014)
  • 伊藤隆、他「ココロとカラダの不調を改善する やさしい東洋医学」株式会社ナツメ社(2016)
  • 鳥海明子「女性力を高める薬膳ごはん」株式会社マイナビ(2013)

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2020年9月23日

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