元剣道部の管理栄養士が伝えるJr.アスリートの食事の重要性!親子で食意識改革/柏成実
こんにちは。10年間の剣道経験がある管理栄養士の柏成実です。私は現在、あるサッカーチームの栄養スタッフとして携わっています。そのため、東京オリンピックは、出場するまでに並々ならぬ覚悟を持って挑んでいる選手の姿と、選手を支えるスタッフや親御さんの姿に強く感動しました。
2021年8月12日
アスリートにとって「食事=食べること」はただお腹を満たすものではなく、ケガをしない強い心身を作るチャンスです。そして食事は選手本人だけでなく、選手を支える保護者の「食意識」も重要です。
今回は、成長期であるジュニア期(小中高生)のお子さんを持つ保護者向けに食事の在り方をお伝えします。
ジュニア期の食事で身体の土台が出来あがる
生まれてから成人(20歳)するまでの過程で、身長や臓器が大きく成長していきます。その成長度合いをグラフで示したものを「スキャモンの発育曲線」といいます。このスキャモンの発育曲線では身長や体重、筋肉といった身体的な成長は、12~18歳の間で急激に発育していくとされています。
したがってこの時期は身体の土台が作られるといえます。ただ成長期が始まる時期は、一人ひとり異なります。発育に応じたトレーニングが必要であるように、食事も個人の成長に合わせて摂っていくことが必要です。
とくに食の好みや1回または1日に食べられる量など抱える問題は一人ひとり違います。私も現役の頃、食の細さにより身体が大きくならない経験や、女性の身体に変化していくことに戸惑いの経験もありました。
一度お子さんと食事について振り返ることをしてみませんか?
土台作りの基本は三回の食事
とくに成長期であり激しいトレーニングを行っているジュニアアスリートは、同学年の子どもよりも多くのエネルギーとそれに伴ったたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルが必要です。
朝食・昼食・夕食にはそれぞれ役割があります。アスリートにおける三食の役割をご紹介します。
●一日をエネルギー満点に過ごすための「朝食」
朝は脳や身体を動かすエネルギーが不足していて、体温や血糖値が最も低い状態です。
欠食すると、エネルギー不足による身体への影響により、筋力の低下、集中力の低下、疲れやすくなるというデメリットがあります。朝食を食べることで、脳のエネルギー源であるブドウ糖が補給され、脳と身体が目覚める働きがあり元気な一日のスタートになります。
●午後練習のための「昼食」
昼食では午後からの練習に備えるために、エネルギーだけでなくたんぱく質・ビタミン・ミネラルなど多くの栄養素を摂取することが必要です。午後の練習時間を考慮し、消化の良いものを重視して、お買いものをしましょう。
お弁当を作る際は、食中毒予防に十分注意し加熱はしっかり行ってください。
昼食のエネルギー量やおかずは午後からのトレーニングに影響します。 昼食は身体を動かすことを考えて、様々な栄養素をバランスよく摂取することが
昼食のエネルギー量やおかずは午後からのトレーニングに影響します。 昼食は身体を動かすことを考えて、様々な栄養素をバランスよく摂取することが
キーポイントになります。
●身体のリカバリーのための「夕食」
一日使い切った身体を回復させ、明日より良い状態で動くための大切な食事のチャンスです。主食・主菜・副菜・牛乳乳製品・果物を意識して献立を立てましょう。
身体を回復させるリカバリー食として、疲労回復に必要なビタミンB₁が含まれている豚肉やブロッコリーなど冷凍してストックしておくと便利です。
翌日のコンディションにも影響してくる夕食を冷凍保存など活用しながら、簡単かつ栄養豊富な食事で身体をリカバリーしていきましょう。
ジュニア期の食事の重要性を感じて頂けたでしょうか。
食事は数値の結果だけでは見えてこない、心身のコンディションがあるからこそ日々の食習慣が身体へ影響します。身体の土台となる時期こそ、食事から身体を強くしていきましょう。
ぜひこの機会にご家庭で、選手含めて食事の見直しから始めてみませんか。個人、チームの目標に合わせたオンリーワンの詳しい食事内容などの提案などの食事サポートは気軽に管理栄養士へご相談ください。
担当管理栄養士:柏成実
担当管理栄養士:柏成実
参考文献
- 鈴木志保子 「スポーツ栄養学」ベースボールマガジン社(2020年 )
- 田口素子、辰田和佳子、長坂聡子 「戦う身体をつくる アスリートの食事と栄養」ナツメ社(2017年)
- 清野隼、塚本咲翔 「パフォーマンスを高めるための アスリートの栄養学」ナツメ社(2020年)
- 高田和子、海老久美子、木村典久「エッセンシャル スポーツ栄養学」市村出版(2021年)
- 寺田新「スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる」東京大学出版会(2020年)
- 朝食が大事な理由,農林水産省(2021.8.8閲覧)