「塩分と高血圧」のこわい話:美味しく減塩するのための食事のポイント/五十嵐栞奈
こんにちは。急性期総合病院で勤務する、管理栄養士の五十嵐栞奈です。
ラーメンやうどんなど、汁のある麺類では、1杯で1日分以上の塩分が含まれています。汁はレンゲで数口飲む程度に止めれば、食塩は半分程度になります。ちなみに、塩や醤油などのシンプルな味付けのものの方が、とんこつなどこってりした味付けのものより塩分は多くなります。また、ざるそばやパスタなど、汁に浸かっていない麺類の方が塩分は少なめです。
2021年12月22日
前回は、塩分の摂りすぎや、高血圧の恐ろしさについて、「『塩分と高血圧』のこわい話」でお話しさせて頂きました。
1日に摂取する塩分の目安は、男性7.5g、女性6.5g、高血圧の方6g ですが、日本人の平均摂取量は約10gと、ほとんどの人が塩分を摂りすぎています。
今回は、塩分を多く含む食品と、減塩のポイントについてお話ししますので、ぜひ今日からの食事に取り入れてみてくださいね。
無意識に食べている??塩分の多い食品
私たちの食事には、目には見えない塩分が含まれており、知らず知らずのうちに多量の塩分を摂っています。そうして日本人のほとんどは塩分を摂りすぎているので、今血圧が高い人も、健康な人も、「節塩」「減塩」が必要です。「私は大丈夫」と思わず、一緒に食事を振り返ってみましょう。
「よく食べているな」と思われる食品はありませんか?
※食品の右側に食塩相当量の目安を明記しております。
「よく食べているな」と思われる食品はありませんか?
※食品の右側に食塩相当量の目安を明記しております。
●麺類・汁物
- ラーメン・うどん(汁まで全て飲む):6〜10g
- 味噌汁・スープ:1〜2g /杯
実は、美味しい「汁」の部分には、多量の塩分が含まれています。
ラーメンやうどんなど、汁のある麺類では、1杯で1日分以上の塩分が含まれています。汁はレンゲで数口飲む程度に止めれば、食塩は半分程度になります。ちなみに、塩や醤油などのシンプルな味付けのものの方が、とんこつなどこってりした味付けのものより塩分は多くなります。また、ざるそばやパスタなど、汁に浸かっていない麺類の方が塩分は少なめです。
汁物なら豚汁のような具沢山にするのがおすすめ。また、1日1杯までにしたり、無塩・減塩のだし(自宅でとったものでも、だしパックでも可)を使用したりするだけでも。塩分はぐっと減らせますよ。
●高塩分食品
- 塩つきの魚・干物 塩鮭(中辛):2~4g
- 肉加工品 ウインナー/ベーコン:1本/枚:0.4g
- 練り製品 細ちくわ1本:0.6g
- 漬物・塩蔵品 梅干し1個:1~2g 明太子1腹:2.5g チーズ1かけ:0.5g
これらの食品は、保存を効かせるために、塩分がたっぷり使用されています。基本的には、普通の生の肉や魚に味付けをするのがおすすめです。使用する場合は、1回の量や食べる頻度に注意しましょう!
●外食・中食
- 牛丼(並盛り) :2.5〜3g
- 牛丼豚汁おしんこセット:6〜7g
- 牛丼・生卵・サラダセット:3〜3.5g
- 定食:4〜6g
- 寿司 すし飯10貫分:2g + 付け醤油 少な目:0.4g ~ 多め:1.2g
- 市販弁当(スーパー/コンビニ/弁当屋):3~6g
外食や総菜は、万人受けするように濃い味付けとなっており、どうしても塩分が過剰になります。しかし、やはり外食ならではの美味しさ・楽しさもありますから、工夫して楽しみましょう。
工夫のポイントは次にお伝えします。
工夫のポイントは次にお伝えします。
美味しく減塩するコツ
- 味のついているものにかけ調味をしない
- 高塩分食品(上記に挙げた食品)を控える
- 外食の利用は週1~2回程度にする
- 調味料は「かける」より「つける」
- 醤油などをかけてから時間が経つと、中に染み込んで味が感じにくくなるので、食べる直前に「つける」のがおすすめ
- 柑橘類(レモン・すだち・ゆず)や酢の酸味、香味野菜(ニンニク・しょうが・しそ)、香辛料(唐辛子・カレー粉・ラー油)などでアクセントをつける
- ダシを効かせて旨味をアップ(昆布、かつお節、きのこ類、煮干しなど)
- 塩分表示を確認し、少ないものを選ぶ
- 食べ過ぎない
1つ1つの工夫は、面倒で些細なものと感じられるかもしれません。しかし、毎日3食食べる食事ですから、チリも積もれば山となり、あなたの体に現れてきます。一つ一つの工夫の積み重ねが、減塩に繋がり、未来の病気の予防につながります。
ぜひ今日から、少しずつでも減塩に取り組んでみてくださいね。
次回は、塩分の他に血圧を上げてしまうもの、減塩の他に血圧を下げられるもの、についてお伝えさせて頂きます。
担当管理栄養士:五十嵐栞奈
担当管理栄養士:五十嵐栞奈
参考文献
- 厚生労働省, 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書, (2021.11.3閲覧)
- 厚生労働省, 令和元年国民健康・栄養調査の概要, (2021.11.3閲覧)
- 香川芳子「毎日の食事カロリーガイド」女子栄養大学出版部(2012)
- 香川明夫「八訂食品成分表2021」女子栄養大学出版部(2021)
- 吉野家公式ホームページ, (2021.11.3閲覧)
- 松屋フーズ公式ホームページ, (2021.11.3閲覧)