農産物の「GAP(ギャップ)」って知っている?/香取美江
2020東京オリンピックの際、選手村の食事提供基準で注目された「GAP」について、皆さんご存じですか?耳にすることが増えたワードですが、JGAP、ASIAGPA、グローバルGAPなどGAP認証の種類は複数あり、わかりにくい点もあるのではないでしょうか。
今回は、農産物における「GAP」の概要についてお伝えいたします。
「GAP(Good Agricultural Practice)」は直訳すると「良い農業の取り組み」を意味します。農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための取り組みのことを言います。一般的に「農業生産工程管理」と呼ばれ、農産物を作る際に適正な手順やモノの管理を行います。東京オリンピックの食事提供で注目が集まったことから、「食の安全」にスポットが当たっていましたが、農業従事者の安全や環境保全の取り組みも含まれています。
GAP認証とは、農業者が実施するGAPの取組みを第三者が基準書に基づき審査し、証明する認証制度です。GAP認証には種類があり、それぞれ運営主体、審査内容、費用等が異なります。
日本で普及している認証は①JGAP、②ASIAGAP、③GLOBALG.A.P.の3種があります。
運営主体はそれぞれに異なり、①②は一般財団法人日本GAP協会、③はFoodPLUS社(ドイツ)です。その他にも都道府県や民間団体が推進するGAPの取組みがあります。
JGAPは、日本でできた制度であり、食品安全・労働安全・環境保全・人権福祉など持続可能な農場経営への取組みのことを言います。認証の対象は、青果、穀類、茶の3つの分類がありそれぞれの分類で基準があります。
ASIAGAPは、GFSI(Global Food Safty Initiative)*から承認を受けたGAP認証制度です。JGAP農産物と同様、食品安全、環境保全、労働安全、人権福祉、農場運営の要素を含んでいますが、食品安全に重点が置かれています。認証の対象は、JGAP同様に青果・穀物・茶の3つの分類に分かれます。
GLOBALG.A.P.は、ヨーロッパでできた制度です。世界120か国以上に普及し、事実上の国際標準となっています。果樹・野菜分野で218の生産工程管理項目があり、トレーサビリティ、作業従事者の労働安全と健康、生物多様性を含む環境保全という4つの柱からなり、最終的には持続可能な農業生産を目指しています。
食品事業者が商品調達をする上で、第三者機関による認証を取引先に求める働きは拡大しています。食品安全、環境保全、労働安全、人権保護等、見えない価値を認証により「見える化」することで、信頼につながります。
一方で、審査に小規模農家が管理する労力や認証費用等の負担がかかるといった課題があります。
2022年2月23日
今回は、農産物における「GAP」の概要についてお伝えいたします。
GAPとは何か?
「GAP(Good Agricultural Practice)」は直訳すると「良い農業の取り組み」を意味します。農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための取り組みのことを言います。一般的に「農業生産工程管理」と呼ばれ、農産物を作る際に適正な手順やモノの管理を行います。東京オリンピックの食事提供で注目が集まったことから、「食の安全」にスポットが当たっていましたが、農業従事者の安全や環境保全の取り組みも含まれています。
GAPを実施することにより、食品安全等の持続可能性の確保、資材の不良在庫の削減、生産効率の改善、生産者自身や従業員の経営意識の向上、取引先からの信頼確保などの効果が認められています。
GAP認証について
GAP認証とは、農業者が実施するGAPの取組みを第三者が基準書に基づき審査し、証明する認証制度です。GAP認証には種類があり、それぞれ運営主体、審査内容、費用等が異なります。
日本で普及している認証は①JGAP、②ASIAGAP、③GLOBALG.A.P.の3種があります。
運営主体はそれぞれに異なり、①②は一般財団法人日本GAP協会、③はFoodPLUS社(ドイツ)です。その他にも都道府県や民間団体が推進するGAPの取組みがあります。
JGAPは、日本でできた制度であり、食品安全・労働安全・環境保全・人権福祉など持続可能な農場経営への取組みのことを言います。認証の対象は、青果、穀類、茶の3つの分類がありそれぞれの分類で基準があります。
ASIAGAPは、GFSI(Global Food Safty Initiative)*から承認を受けたGAP認証制度です。JGAP農産物と同様、食品安全、環境保全、労働安全、人権福祉、農場運営の要素を含んでいますが、食品安全に重点が置かれています。認証の対象は、JGAP同様に青果・穀物・茶の3つの分類に分かれます。
GLOBALG.A.P.は、ヨーロッパでできた制度です。世界120か国以上に普及し、事実上の国際標準となっています。果樹・野菜分野で218の生産工程管理項目があり、トレーサビリティ、作業従事者の労働安全と健康、生物多様性を含む環境保全という4つの柱からなり、最終的には持続可能な農業生産を目指しています。
*GFSI(Global Food Safety Initiative:世界食品安全イニシアティブ)は、世界的に展開する小売業者・食品製造業者等の食品関連企業・団体が参加し、食品安全の向上と消費者への信頼強化を目的とした非営利団体です。主な活動の一つに、食品安全認証プログラムの承認があります。
GAPの動向
食品事業者が商品調達をする上で、第三者機関による認証を取引先に求める働きは拡大しています。食品安全、環境保全、労働安全、人権保護等、見えない価値を認証により「見える化」することで、信頼につながります。
一方で、審査に小規模農家が管理する労力や認証費用等の負担がかかるといった課題があります。
現在、農林水産省では、都道府県等の独自のGAP基準を統一し、広げていく動きがあります。認証は取らないがGAPに取り組み、それを確認する「国際水準GAP」の推進検討会が開かれています。
参考文献
- 「Goodな農業! GAP-info」,農林水産省,(閲覧日2022年2月16日)
- 「農業生産工程管理(GAP)に関する情報」, 農林水産省,(閲覧日2022年2月16日)
- 「GAP(農業生産工程管理)を巡る情勢」,農林水産省, (閲覧日2022年2月16日)
- 「GAP認証について」,一般社団法人日本GAP協会,(閲覧日2022年2月16日)
- 「東京2020大会 食提供に係る基本戦略」, 東京 2020 組織委員会,(閲覧日2022年2月16日)
- 田上隆一 監修:一般社団法人 日本生産者GAP協会「日本GAP規範 第2版Japanese Code of Good Agricultural Practice Ver.2-環境と人にやさしい農業の実践-」幸書房(2021)
- 「GAP認証制度の比較」,JA東京スマイル,(閲覧日2022年2月16日)