今一度見直そう!炭水化物の働きと糖質制限/西俣成香
あなたは「炭水化物」という言葉をきいたことはありますか?では「炭水化物の働き」についてはご存知でしょうか?
担当管理栄養士:西俣成香
参考文献
2022年8月10日
今回は、炭水化物の働きと、減量のためによく行われている糖質制限についても解説をします。
そもそも炭水化物とは??
糖質1gで約4kcalのエネルギーを産生し、脳・神経組織・赤血球などのエネルギー源となります。炭水化物源(糖質源)としてよくあげられる食材は、ご飯、パン、麺類などの穀類と、いも及びでん粉類があります。
一方、食物繊維は、腸内細菌による発酵分解によってエネルギーを産生します。産生するエネルギーは、1g当たりおよそ0~2kcalと考えられています。食物繊維が多く含まれる食材は、ライ麦パン、しらたき、さつまいも、切り干し大根、かぼちゃ、ごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、糸引き納豆、いんげん豆、あずき、おから、しいたけ、ひじきなどがあります。
糖質の不足や過剰摂取でどうなる?
上述の通り、糖質は体にとって大切な”ガソリン源”です。糖質が不足すると、エネルギー不足による疲労感や集中力の減少が見られます。また、糖質が体内で消化吸収されたグルコース(グリコーゲン)が必要な脳・神経で供給不足が起こると、意識障害を起こす可能性もあります。
過剰摂取な場合、エネルギーとして消費されなかった糖質は中性脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病の原因となります。また、糖質のエネルギー代謝にはビタミン類やミネラル類が必要なため、これらの栄養素が不足する可能性があります。
●糖質制限は体にいいの?悪いの?
減量のために糖質制限を行う方がいらっしゃいます。減量のために、糖質制限を行っても、他の栄養素(脂質、たんぱく質)を多く摂っており、総エネルギー摂取量が変わらなかった場合、長期的に見て大きな減量効果は期待が出来ません。また食物繊維が不足する、腸内環境が悪化することなどより、便秘になるという方もいらっしゃいます。そのため、むやみやたらに糖質を制限することは、お勧めいたしません。
炭水化物の1日の摂取量
炭水化物(糖質)は、1日に食事から摂取するエネルギーのうち50~65%に相当する量が目標量となります。1日に2000kcalを摂取すると想定した場合、その中の、50~65%は、およそ1000~1300kcalとなります。
1日に3食食べると想定すると、1食当たり、およそ330kcal~430kcalが炭水化物から摂取したいエネルギー量となります。精白米のご飯で換算すると、およそ210g~280gに相当します。意外とたくさん食べられることがお分かりいただけると思います。
ここまで読んでみていかがでしょう?過剰に糖質を怖がっていたり、反対に多く摂っていたと気付きはありましたか?
現在食べている炭水化物の量と比較をし、少しでも健康について考える機会となりましたら、幸いです。
担当管理栄養士:西俣成香
参考文献
- e-ヘルスネット「炭水化物 / 糖質」,厚生労働省,(2022.07.26閲覧)
- e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」,厚生労働省, (2022.07.26閲覧)
- 日本人の食事摂取基準(2020年版),厚生労働省, (2022.07.26閲覧)
- 「八訂食品成分表2021」女子栄養大学出版部(2021)