ジュニア世代から意識しよう!運動時の水分補給のポイント/柏成実
こんにちは。管理栄養士の柏成実です。暑い日が続いていますが、運動をする選手の皆様は夏バテからコンディション不良になっていませんか。またこの季節に運動をするときは熱中症対策が必須です。とくにジュニア世代の身体は成人より体温調節の働きが未熟のため、熱中症のリスクも高まります。
●親子で考えよう!ジュニアアスリートの身体を大きくするための食事
2022年8月17日
そこで今回は、夏場の練習や試合をコンディション落とさずに乗り切るための水分補給のポイントをお伝えします。
知ってほしい「汗」の種類
1つ目は【温熱性発汗】で身体が温かくなったときに熱を逃がそうと発汗するものです。主に水とミネラルなどの電解質が含まれており、外出時や運動して発汗する汗です。
2つ目は【精神性発汗】で緊張や興奮するときに発汗するものです。試合の緊張する場面で手や脇などにかき、主に水と電解質と脂質が含まれている汗です。
大きな大会や試合等ではどちらも含む発汗をすることがあります。その場合、水だけではなくミネラルや脂質も抜けているということを意識しておきましょう。
タイミングと水分の内容
●運動前
発汗する前は水やお茶、スポーツドリンクを250~500ml摂取しておきましょう。ポイントは一気に飲むのではなく、こまめに飲むことで体内に水分を吸収させるようにします。ただし練習直前に糖度の高い飲み物を摂取すると、急激なインスリン分泌による低血糖を起こすこともありますので、摂取するタイミングには注意が必要です。
また、練習前に水分補給が出来ているか確認する一つの目安として、尿の色を見ることです。濃い黄色の尿の場合は水分補給が出来ていないサインです。必ず確認してみましょう。
●運動中
発汗する運動強度の競技や1時間以上運動を断続して行う場合、水のみの補給では汗により排出されたナトリウムが体内で更に薄まり、低ナトリウム血症による吐き気や頭痛などの症状が現れることもあります。そのため、運動中は糖質と塩分が含まれているスポーツドリンクがおすすめです。ご自宅で作る場合は、糖質4~8%、塩分0.1∼0.2%を含んだ飲料にしましょう。糖質濃度が高すぎると体内に水分が吸収されにくくなりますので注意して作成してください。
飲む量の目安として、1時間で500~1000mlで20分ごとに水分補給をすることが望ましいとされています。水分補給が出来る環境を作ることも大切になってきますね。
●運動後
運動後の水分補給は、脱水している水分と糖質を回復させることが目的です。
内容はスポーツドリンクで、発汗で減少した分の量を補給することがポイントです。運動中の水分補給が適正に行えていたのか確認する手段として体重測定が挙げられます。目安は運動後の体重が運動前の体重の2%以内の体重減に留められるようにしましょう。
内容はスポーツドリンクで、発汗で減少した分の量を補給することがポイントです。運動中の水分補給が適正に行えていたのか確認する手段として体重測定が挙げられます。目安は運動後の体重が運動前の体重の2%以内の体重減に留められるようにしましょう。
水分補給以外で気を付けること
「汗をかく=水分補給」は多くの方が意識されます。しかし体水分量コントロールには、水分補給以外も重要です。ここでは2点ご紹介します。
●欠食しない
食事には水分も塩分も含まれるため毎食食べることが水分補給に繋がります。同時に食事内容のバランスの偏りや一食の量にも気を付けましょう。
●7∼8時間の睡眠を取る
体調が万全の状態で運動をすることで運動中の水分補給が活きてきます。そのためには適度な睡眠時間と質の良い睡眠で疲労回復を行うようにし、運動前に体調チェックして整えておきましょう。
気温が高い中での運動は、水分補給次第でパフォーマンスが左右されると言っても過言ではありません。お子さんと水分補給の仕方を再度振り返って頂けると幸いです。
今年の夏、食事からも周りのライバルに差をつけて競技力アップを目指しましょう。
参考文献
- スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック,JSPO(日本スポーツ協会),(2022.8.4閲覧)
- 鈴木志保子「スポーツ栄養学」日本文芸社(2018)
- 清野隼・塚本咲翔「パフォーマンスを高めるためのアスリートの栄養学」ナツメ社(2018)
- 寺田新「スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる」東京大学出版会(2017)
- 寺田新「スポーツ栄養学 最新理論」市村出版(2020)
柏成実執筆コラム
●元剣道部の管理栄養士が伝えるJr.アスリートの食事の重要性!親子で食意識改革●親子で考えよう!ジュニアアスリートの身体を大きくするための食事