薬膳のプロが教える!怒りを鎮めたい時に食べたい薬膳食材3選/相川朋世
9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続きそうですね。夏休みはイベントも多く、心と身体は疲れていませんか?
今回もスーパーで手に入る3つの薬膳食材を紹介します。
●トマト
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●薬膳のプロが教える!心がザワついた時に食べたい薬膳食材3選
2022年9月 7日
夏は暑さで精神や意識を司る「心」に負担がかかりやすいですが、さらにイライラすると気をコントロールする「肝」にも影響を与えます。いつもイライラして怒ってばかり、ちょっとしたことでも許すことができない時、「肝」に余分な熱が溜まり、気が上に上がりやすくなっているかもしれません。
今回のコラムでは、ちょっとしたことでも怒ってしまう時に、怒りを鎮める薬膳食材を紹介します。
ちょっとしたことでも怒ってしまう原因
前回のコラムではイライラしてしまう「気滞」という状態を紹介しましたが、今回の怒りは過労やストレスが溜まりすぎて、気をコントロールする「肝」に熱が溜まってしまったことが原因で起こると考えられます。気が鬱滞することにより、熱を生じることもあります。
いつもイライラする、怒りっぽい、顔に赤みがある、めまい、便秘、不眠、悪夢、目の充血などが起こり、ガッチリした体型の方や高血圧の方に多いですが、誰にでも起こることです。
これらは身体に熱が溜まることと、潤いが足りなくなることが重なりやすく、このような症状が起こります。
国際中医薬膳師が推奨する!怒りを鎮めたい時に食べたい薬膳食材3選
今回もスーパーで手に入る3つの薬膳食材を紹介します。
●トマト
トマトは「微寒性」の野菜で、熱を収める作用を持ちます。「平肝」といって気の巡りをコントロールしている肝に熱がこもってしまった時に、平穏な状態に戻す働きをもちます。また、「生津止渇」といって、水分を補充して潤いを与える働きもあり、火照りや便秘などといった熱のトラブルの改善にも役立ちます。
栄養の面から言っても抗酸化作用のあるリコピンやその他ビタミン、ミネラルが豊富なトマトは生活習慣病の予防によく、夏が旬ですが、一年を通して食べやすい野菜なので、ぜひ毎日の食卓に取り入れてほしいです。
●セロリ
特有の香りを持つセロリはストレスによる不安や緊張、食欲不振、頭痛、不眠などを改善する作用を持ちます。もともと薬草として日本に渡ってきたセロリは「凉性」「平肝清熱」で身体の熱をとり、頭にのぼった気を下ろす働きがあります。
生で食べると香りが強く、シャキッとした独特の食感を楽しむことができます。よく噛むこともストレス解消の方法の一つですので、ぜひサラダにして食べてみてください。香りが苦手な方は、細かく切ってトマトと一緒に煮たりすると食べやすくなります。
●緑茶
休憩する時に、コーヒーや紅茶など飲む人が多いかもしれませんが、熱を体に取り込むことになるので、このタイプの方は一休みしたい時は緑茶がおすすめです。
怒りを溜めない、暮らしのポイント
「気滞」と同じでストレスを発散することが苦手な人が多いです。自分の好きなことや、ただぼーっとする時間を作ること、人と話したりして自分の中に溜め込まないことを意識しましょう。気持ちを整理するため、ノートに自分の思っていることや悩んでいることなどを書き出すのもいいですね。ストレスで甘いものやお酒、揚げ物、辛いものなどを食べすぎると、身体に熱を溜め込むことになって熱を一層高める恐れがあるので、控えましょう。
前回のコラムの「気滞」タイプの気の巡りを良くする食材と共に、今回紹介した身体の余分な熱をとる食材を取り入れると効果的です。自分の気持ちをコントロールできないこと自体、ストレスになってしまいます。イライラはストレス発散する行為だけでなく、食事を変えることによっても少し改善することができます。ちょっと最近怒りすぎているなど、気になることがあったら食事を見直す良いタイミングかもしれません。ぜひ、お気軽にパーソナル管理栄養士にご相談ください。
担当管理栄養士:相川朋世
担当管理栄養士:相川朋世
参考文献
- 梁晨千鶴「東方栄養新書」メディカルユニコーン(2014)
- 鳥海明子「女性力を高める薬膳ごはん」マイナビ(2013)
- 植木もも子「薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖」西東社(2012)
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