中性脂肪が高いとどうなる?改善のポイントを解説/成松由佳
健診施設で働いていると「検査値に印がついているけれど、どういう意味か分からない。どうしたらいいの?」という声をよく耳にします。
●12月こそ実践したい!手足の冷えを改善する食事と生活のコツ
●花粉症は予防できる?!今すぐ実践したいセルフケア
●LDLコレステロールが高いとどうなる?改善のポイントを解説
2022年9月14日
今回は中性脂肪について、数値の見方と改善のポイントを解説します。高くても自覚症状はありませんが、放置すると心筋梗塞や狭心症を引き起こす原因となります。ぜひ健診結果を確認しながらお読みください。
中性脂肪が高いとなぜ悪い?
中性脂肪は「トリグリセライド」とも呼ばれる血中脂質の一種です。血中の中性脂肪は全身の細胞に運ばれ、エネルギー源として使われます。エネルギーとして使われなかった分は脂肪細胞に蓄えられ、体重の増加につながります。
血中の中性脂肪が増えると、血中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)の粒子が小さくなります。LDLコレステロールは血管壁に入り込んで蓄積し、血管壁を厚くすることで動脈硬化を引き起こす性質があります。LDLコレステロールの粒子が小さくなり、血管壁に入り込みやすくなると、動脈硬化が進みやすくなり、心筋梗塞や狭心症の発症リスクが高まります。
●中性脂肪の基準値
中性脂肪の基準値の範囲は30~149mg/dl以下とされています。
空腹時採血の結果が150mg/dl以上、もしくは随時採血の結果が175mg/dlで「高トリグリセライド血症」と診断される状態となります。生活習慣を見直し、数値の改善を目指しましょう。
検査値によっては再検査や治療が必要になる場合もあります。受診については健診結果の指示に従いましょう。特に500mg/dlを超える場合は、急性膵炎を引き起こす可能性も高いため、お早めにかかりつけの医療機関の受診をお勧めします。
食生活で中性脂肪を改善するには?
●体重を適正にする
肥満の人は脂質異常を引き起こしやすく、動脈硬化や心臓病になるリスクも高いことが知られています。肥満度の指数であるBMI※が25以上で肥満と判定されます。
肥満の場合はまず体重を減らし、適正体重に近づけることが大切です。食べすぎているものを減らす、油の多い料理を控える、お酒を控えるなどの工夫によって、摂取するエネルギー量を減らしましょう。
※BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
●糖類のとりすぎを避ける
炭水化物のとりすぎは中性脂肪を上昇させることが知られています。特に、果糖や砂糖などの糖類は中性脂肪を上げやすいといわれています。そのため、果物の食べすぎには注意が必要です。また、砂糖が含まれるお菓子や飲み物も控えるようにしましょう。
●魚の摂取量を増やす
魚油に含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸には、肝臓で中性脂肪を合成しにくくする働きがあります。肉を控え、魚を食べる頻度を増やしましょう。
運動で中性脂肪を改善するには?
以下の4点のポイントに気をつけて、運動を取り入れてみましょう。
- 有酸素運動を中心に実施 (ウォーキング、水泳、エアロビクスダンス、サイクリングなど)
- 中強度(ウォーキング相当)以上の運動
- 1日合計30分以上
- できれば毎日、少なくとも週3日
また運動以外の時間も、できるだけ座ったままの生活を避けるのが大切です。出かけるときに車を使わず歩いて行く、少し遠回りをして歩数を増やすなど、生活の中で時間を見つけて活動量を増やすとよいでしょう。
健診結果をもとにご自身の生活習慣を振り返り、できることから取り組んでみませんか。
ご不明な点がありましたら、ぜひパーソナル管理栄養士にご相談ください。
参考文献
- 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版,一般社団法人日本動脈硬化学会,(2022.9.2閲覧)
- 標準的な健診・保健指導プログラム,厚生労働省,(2022.9.2閲覧)
- e-ヘルスネット「脂質異常症(基本)」,厚生労働省,(2022.9.2閲覧)
- 検査表の見方,公益社団法人日本人間ドック学会,(2022.9.2閲覧)
- 医療情報科学研究所編「病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌 第4版」メディックメディア(2014)
成松由佳執筆コラム
●この季節に実践したい、睡眠改善につながる食事のコツ●12月こそ実践したい!手足の冷えを改善する食事と生活のコツ
●花粉症は予防できる?!今すぐ実践したいセルフケア
●LDLコレステロールが高いとどうなる?改善のポイントを解説