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  1. 薬膳のプロが教える!ダルさから抜け出したい時に食べたい薬膳食材3選/相川朋世

薬膳のプロが教える!ダルさから抜け出したい時に食べたい薬膳食材3選/相川朋世

10月に入り、急に夏から冬になったように寒くなりました。そろそろ寒さにも慣れてきましたが、朝起きて布団から出るのに時間がかかる、なんだかやる気がないなど、ちょっとダルさを感じていませんか。
 
寒いからしょうがない、では毎日をごきげんに過ごすことができません。また、慢性的なダルさになると、なかなか抜け出すことが難しくなってしまいます。まずは食を見直して、エネルギーを生み出す「脾」の調子を整え、心身のバランスを整えましょう。
 
今回のコラムでは、ダルさから抜け出す食養生をお伝えします。
 
 

ダルさが起こる原因

20221109_コラム画像①.jpg食べたものを消化、吸収する器官は飲食物をエネルギーである「気」や身体中に栄養を届ける「血」に変えるスタート地点です。中医学では主に「脾」という臓器が担っていると考えます。食べ物を食べたらエネルギーになると思いがちですが、「脾」などの消化吸収器官がしっかりしていないと十分に作り出すことができません

ストレスや暴飲暴食は「脾」の機能を弱めてしまいます。さらに、「脾」が弱ると気持ちが落ち込んだり、クヨクヨ悩みやすくなってしまいます。また、悩みすぎても胃腸炎や下痢などが起こるように「脾」を傷つけてしまいます。このように、「脾」が弱ると身体が弱り、やる気もなくなり、ダルさを感じやすくなってしまうのです。
 
 

国際中医薬膳師が推奨する!ダルさから抜け出したい時に食べたい薬膳食材3選

20221109_コラム画像②.jpg
今回もスーパーで手に入る3つの薬膳食材を紹介します。

 
●穀類(米・雑穀)
「気」を補う代表の食材である米ですが、玄米や白米の他に、アワやキビなどの雑穀も同様に「補気」の作用があります。これらは消化しやすく、消化吸収機能を回復させる働きもあります。日本人には昔から親しまれている食材ですが、近年流行っている糖質制限ダイエットなどによって、食べる量を減らしてしまっている人もいるかもしれません。しかし、「気」と言う字は「氣」と書かれていたように、元気の中心には米が必要です。疲れが出た時こそ、お米を中心とした食事を意識してみましょう。
 
栄養面から見ても糖質が多く、エネルギーの補給をするにはお米は最適です。玄米や雑穀は白米では摂りにくいビタミンやミネラル、食物繊維を多く含んでいるため、白米に大さじ2〜3程度混ぜるのがおすすめです。また、玄米は胃腸が弱い人が食べると負担がかかり、下痢や便秘などの不調を起こしやすいので,白米に玄米を混ぜてたり、お粥にするなど工夫が必要です。身体に合わないと感じた時は無理して取り入れる必要はありません。
 
 
●味噌
味噌に使われている大豆は「畑の肉」と言われいるように血の材料になります。また、現代栄養学でも女性ホルモンのような働きをするとされる大豆イソフラボンを含んでいると言われています。味噌汁には野菜やお肉、海藻などどんなものを入れても食べやすく、善玉菌の餌となる乳酸菌も豊富で、腸内環境の改善にもおすすめです
 
味噌を選ぶ時は、「大豆、米麹、食塩」の3つ程で製造されたものがよく、あまり添加物などが入っていないシンプルなものにしましょう。赤味噌、白味噌など種類も豊富で、地域によっても味が変わるので、いろんな味を楽しむことができます。材料を茹でて、味噌を溶かすだけなので、手間がかかりません。

 
●鮭
魚の中でも子供から大人まで食べやすい鮭は気を補い、巡らせるパワーと血を補い、巡らせるパワーを併せ持つスーパー食材です。胃腸を温めて、消化機能を良くするほか、水分代謝を改善する働きもあり、むくみの解消にもおすすめです。
 
カルシウムの吸収を良くしたり、免疫機能に関わるビタミンDや抗酸化作用を持つアスタキサンチンも豊富で、アンチエイジングや美容にも良い食材です。焼くだけで美味しく食べることができ、ご飯が進みます。水煮缶を使えば骨ごと食べることもでき、カルシウムを一緒に摂取することができます。
 
健康になろうと思うと、サプリメントやスーパーでは手に入りにくい栄養価の高いと言われる「スーパーフード」など流行りのものに目がいってしまいますが、お米と味噌汁と鮭のようなシンプルな和食が身体と心を整える食事になります。

 

「脾」を元気にする暮らしのポイント

20221109_コラム画像③.jpg「脾」をケアする合言葉があります。それは「ああなつか」です。
 
  • あ…甘いもの
  • あ…あぶらっぽいもの
  • な…生もの
  • つ…冷たいもの
  • か…辛いもの
     
この5つのもののとり過ぎは、「脾」の機能を弱めてしまいます。お米や芋などの自然な甘みは、「脾」のケアをしてくれますが、お菓子のような甘みが強いもののとり過ぎは負担になってしまいます。揚げ物や生もの、辛さが強すぎるものも同様です。夏に限らず、冬でも冷蔵庫に入った冷たい飲み物を好む人もいますが、できれば常温〜体温くらい温かい飲み物を飲むように意識しましょう。
 
消化吸収システムに負担をかけないようにするには、食べ過ぎないことも重要です。食事の量の目安は次の食事の時にお腹が空いているかを目安にしてみてください。
例えば、夕食は朝目覚めたら空腹を感じているくらいが調度いいくらいです。また、よく噛んで食べることも大切です。早食いはせずに食事はゆっくりリラックスできる環境が作れると良いでしょう。

食事を意識することも大事ですが、身体と心の回復には睡眠も重要です。15分程度の短いお昼寝も良く、夜は寝る前にスマホなどは見ず、考え事もせず、ゆっくりリラックスできる時間を作りましょう。

 
食事を見直したいと思った時は、お気軽にパーソナル管理栄養士にご相談ください。


担当パーソナル管理栄養士:相川朋世
 
 
参考文献
  • 梁晨千鶴「東方栄養新書」メディカルユニコーン(2014)
  • 鳥海明子「女性力を高める薬膳ごはん」マイナビ(2013)
  • 植木もも子「薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖」西東社(2012)



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2022年11月 9日

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