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  1. 薬膳のプロが教える!更年期を緩やかに過ごす薬膳ケア②/宮田朋世

薬膳のプロが教える!更年期を緩やかに過ごす薬膳ケア②/宮田朋世

8月も終わり、9月になります。暑かった夏も秋に近づき、暑さと湿気から肌寒さや乾燥など、季節の移り変わりをだんだんと肌で感じるでしょう。季節の変わり目に体調を崩しやすいように、歳を重ねる私たちも節目には身体や気持ちに変化があり、体調を崩しやすくなります。その代表的なものが「更年期」を迎える50代前後の女性です。
 
今回のコラムでは、前回に引き続き“更年期障害”について、薬膳のベースである中医学の視点からお伝えします。
 
 

更年期症状は人それぞれ違う

20230830コラム①.jpg
閉経前後の5年間をあわせた10年間を「更年期」といい、その時期に現れる症状で病気に伴わないものを「更年期症状」、その中でも日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」といいます。

 
更年期症状は次の3つに大きく分けられます。
 
  1. 血管の拡張と放熱に関係する症状:ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗
  2. その他の様々な身体症状:めまい、動悸、頭痛、肩こり、関節の痛み、冷え、疲れやすさ
  3. 精神症状:気分の落ち込み、イライラ、情緒不安定、不眠

 
更年期症状は人それぞれなので、対処法も人それぞれです。今回のコラムでは、①に含まれる“ほてり”“のぼせ”“ホットフラッシュ”“発汗”を改善する薬膳食材を紹介します。
 
 
 
●“ほてり”“のぼせ”“ホットフラッシュ”“発汗”の原因とは

□ 顔や手足がほてる
□ 喉が乾きやすい
□ 尿の量、回数が多い
□ 皮膚や唇が乾燥する
□ 便秘、便がコロコロしている
□ 寝汗をかく

 
このような症状が見られる方は、体内の「陰」の要素である「水」や「血」が不足しすぎて、熱を持ってしまっています。運動して暑い、気温が高くて暑いのではなく、冷房を入れても冷たい飲み物を飲んでも、身体の中から熱が生まれてしまうような暑さのことです。「水」が不足しているからと言って、水分を摂ればいいわけではないのが難しいところです。

 
 
●“ほてり”“のぼせ”“ホットフラッシュ”“発汗”を改善するオススメ薬膳食材

中医学ではこの状態を「陰虚(いんきょ)」といい、水を補い身体に潤いを与える「滋陰」「燥潤」「生津」などの効果を持つ食材を取り入れることが重要です。また、体内の余分な熱を取り除く「清熱」の効果をもつ食材も一緒に摂るようにしましょう。

この効果を持つ食材は白い食材や夏野菜に多くあります。
 
  • 大豆加工食品:大豆、豆腐、豆乳、おから、味噌、醤油
  • 野菜・いも類:長芋、れんこん、オクラ、きゅうり、トマト、白菜、アスパラガス
  • 肉類:豚肉 
  • 貝類:ほたて、牡蠣
  • きのこ類:白キクラゲ
  • 種実類:白ゴマ、松の実
  • 乳製品:牛乳
 
大豆には女性ホルモン(エストロゲン)に似た大豆イソフラボンが含まれ、女性ホルモンに似た作用をして、更年期のホルモンバランスの崩れをサポートしてくれます。また、ネバネバ食材に含まれている多糖類は細胞や粘膜を正常に保つ働きのほか、コラーゲンの元となるタンパク質の吸収を促進する働きを持ちます。その他に、きゅうりやトマトなどの夏野菜は身体を冷やし、潤してくれます。肉類では豚肉は身体を潤す作用があると考えられ、特に豚足は皮膚を潤し乾燥肌やシワ改善にも効果的です。
 
これらの食材は、色々な面から更年期の症状をサポートしてくれます。
 
一方、生姜やネギなどの薬味食材や、シナモンや唐辛子などのスパイスは身体を温めてしまうため、あまり摂らないようにしましょう

 
コラムでは、オススメ食材を使ったスープを紹介いたします。

 
●ホットフラッシュ対策に!牡蠣の豆乳みそ薬膳スープ
20230830_コラム画像③.JPG
<材料(2人分)>
  • 牡蠣(冷凍)…150g

  • A)ベーコン(短冊切り)…50g
  • A)白菜(ザク切り)…100g
  • A)長芋(拍子切り)…50g
  • A)人参(細切り)…40 g

  • 豆乳…300g
  • 水…300g
  • バター…大さじ1
  • 白味噌…大さじ12
  • 塩、こしょう…適量

<作り方>
  1. 牡蠣は解凍後、塩水で洗い、ザルにあげておく。
  2. フライパンにバターを熱し、Aを加えて中火で炒める。
  3. ②に火が通ったら水を入れて沸騰させる。その後弱火でしばらく煮込む。
  4. ボウルに豆乳を入れて白味噌を溶き、③に入れる。
  5. 牡蠣と塩、こしょうを④に入れ、味を整える。

 

ほてり”“のぼせ”“ホットフラッシュ”“発汗”を改善する生活習慣

20230830JPDAコラム②.jpgのサムネイル画像
このタイプの方は、汗のかきすぎに注意が必要です。お風呂に長時間入ったり、運動しすぎるのも控えましょう。夜ふかしや長時間スマホなどを見ること、考え事をするのも良くないので、夜は早く寝てゆっくり身体を休めることに専念しましょう。身体にも、心にも余裕を持った生活を心がけてくださいね。

 
今の食事に不安があったり、食事で健康を手に入れたいと思った方は、お気軽にパーソナル管理栄養士にご相談ください。
また今回ご紹介した「牡蠣の豆乳みそ薬膳スープ」を作った見た方は、X](旧Twitter)やInstagram、Threadsなどに「#日本パーソナル管理栄養士協会」「#牡蠣の豆乳みそ薬膳スープ」「#更年期障害レシピ」とハッシュタグをつけてお知らせくださいませ。
皆様のつくれぽ、楽しみにしてります。


担当管理栄養士:宮田朋世

 
 
参考文献
  • 公益財団法人 日本産婦人科学会,「更年期障害」(2023.8.10閲覧)
  • 日本中医食養学会「現代の食卓に生かす「食物性味表」改訂2版」株式会社平河工業社(2014)
  • 池田陽子「中年女子のゆる薬膳。」学校法人文化学園文化出版局(2022)
  • 戴毅「全訳中医基礎理論」たにぐち書店(2015)
  • 植木もも子「薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖」西東社(2012)
  • ムチン わかさ生活,(2023.8.10閲覧)


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2023年8月30日

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