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  1. 薬膳のプロが教える!更年期を緩やかに過ごす薬膳ケア③/宮田朋世

薬膳のプロが教える!更年期を緩やかに過ごす薬膳ケア③/宮田朋世

「更年期を穏やかに過ごす薬膳ケア」のコラムでは、薬膳のベースである中医学の視点から①更年期障害が起こる原因と腎をケアする薬膳、②ホットフラッシュなどの原因とオススメの薬膳について書きました。

薬膳のプロが教える!更年期を緩やかに過ごす薬膳ケア①
薬膳のプロが教える!更年期を緩やかに過ごす薬膳ケア②
 

今回のコラムでは、更年期症状でもあるイライラ、ウツウツ2つのメンタルの不調についてお伝えします。

 

イライラ、ウツウツなど、メンタルの不調も人それぞれ

20231004_コラム画像①.jpg
閉経前後の5年間をあわせた10年間を「更年期」といい、その時期に現れる症状で病気に伴わないものを「更年期症状」といいます。その症状はホットフラッシュなどの熱症状、動悸や痛みなどの身体症状、情緒不安定などの精神症状があり、人それぞれです。
 
メンタルの症状で言えば、
  • やる気が出ない
  • 落ち込みやすい
  • 不安感がある
  • イライラと怒りっぽい
  • 感情がコントロールできない
などがあります。
 
 

“イライラ”の原因とオススメ薬膳食材

20231004_コラム画像②.jpg
ちょっとしたことでイライラが止まらない、突発的にキレて怒鳴ってしまう、そんなイライラが止まらないのは「気が巡っていない」ことが原因です。このタイプは自律神経を司る「肝」が弱り、気の巡りが滞ることが原因で、不調が引き起こされています。
 
□イライラ怒りっぽい
□は胸や脇に張ったような痛みがある
□ため息をよくする
□喉が詰まったような感じがする(梅核気)
□お腹が張りやすい、オナラがよく出る
 
などの症状も一緒に起こりやすくなっています。
 
もともとPMS(月経前症候群)の方や、ストレスを溜め込みやすく、ストレスの発散が苦手な人は、更年期症状としてイライラが出やすいかもしれません。

 
●“イライラ”にオススメの薬膳食材と料理
このタイプは香りがポイントです。

例えば、グレープフルーツの香りは精神安定やリラックス効果があります。青じそや三つ葉をいつもの食事の添えたり、ハーブティーや柑橘類を間食に取り入れてみましょう。
 
セロリ ・ミツバ ・春菊 ・青じそ ・パセリ ・パクチー ・玉ねぎ ・ピーマン
パプリカ ・グレープフルーツ ・金柑 ・オレンジ ・みかん ・ゆず ・ミント
かじきまぐろ ・鮭 ・酒 ・ジャスミン ・ワイン

 
<料理例>
  • イカとセロリの青じそドレッシング和え 
  • サーモンとパプリカのオレンジマリネ
  • 牡蠣と三つ葉のそば 
  • ジャスミンミントティー 
  • オレンジとミントのサングリア
 

“ウツウツ”の原因とオススメ薬膳食材

20231004_コラム画像③.jpg
やたらと不安感を感じたり、眠れない、悪夢をよくみてしまうのは「心(しん)」が弱っているからかもしれません。
 
□うつっぽい、落ち込みやすい
□不安感がある
□動悸がする
□物忘れしやすい
などの症状も起こりやすくなっています。
 
「心」は意識や思考、精神活動をコントロールしている臓器なので、不安感や不眠、記憶力の低下などが起こりやすく、もともと「血」を消耗しやすい女性、特に貧血の方はなりやすい症状です。
 
 
●“イライラ”にオススメの薬膳食材と料理
「以臓補臓(いぞうほぞう)」といい、身体の弱った部分を動植物の同じ部位や形のものでケアすると言う考えがあります。また、セロトニンやメラトニンの生成に関わるトリプトファンを含む青魚や乳製品などを取り入れてみましょう
 
鶏や豚のハツ(心臓) ・あさり ・サバ ・アジ ・れんこん ・蓮子 ・百合根 
にんじん ・たまご ・ハチミツ ・ココナッツ ・なつめ ・ココア ・ローズ ・牛乳
 
 
<料理例>
  • あさりとれんこんの和風パスタ
  • 百合根とたまごのポテトサラダ風
  • 牡蠣玉丼 
  • 棗とレーズンのココアパウンドケーキ 
  • シーフードココナッツカレー
 

自分の身体、不調の原因を知ることがはじめの一歩

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毎年10月18日は「世界メノポーズデー」、10月18日〜24日は「メノポーズ週間」といい、更年期の健康に関わる情報を全世界へ提供する日として定められています。2022年時点で、日本の女性の平均寿命は87.74歳で閉経後の人生が30年以上続きます。身体や心に変化がある更年期を健やかに過ごすことで、その後の人生も豊かになるでしょう
 
女性が社会に活躍する時代になりましたが、生理、妊娠、閉経など、女性ならではのトラブルは尽きません。不調は体質だから仕方ないのではなく、生活習慣、食習慣、社会的環境など様々な原因が絡んでいます。その不調の原因は何なのか、どのようなメカニズムでなっているのかを自ら知るのも予防・改善の一歩です。

 
 
「更年期を穏やかに過ごす薬膳ケア」の3つのコラムに書いてあることは、更年期症状の一部ですが、あてはまるものがあれば試してみてください。また、自分を知る、原因をいるきっかけになれば幸いです。


担当管理栄養士:宮田朋世
 

 
参考文献
  • 公益財団法人 日本産婦人科学会,「更年期障害」(2023.8.10閲覧)
  • 日本中医食養学会「現代の食卓に生かす「食物性味表」改訂2版」株式会社平河工業社(2014)
  • 池田陽子「中年女子のゆる薬膳。」学校法人文化学園文化出版局(2022)
  • 戴毅「全訳中医基礎理論」たにぐち書店(2015)
  • 植木もも子「薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖」西東社(2012)



 
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2023年10月 4日

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