食べる状況で変わる食事の効果~体と心が喜ぶ効果的な食べ方~/髙宮朋美
いきなり質問です。あなたはいつも、どのような状況で食事をしていますか?
エネルギーや栄養素の摂取量だけを考えれば、どんな食べ方でも同じですが、心身への影響、栄養の効果は、「何を食べるか」だけではなく、「どう食べるか」によって大きく変わります。
執筆担当・監修管理栄養士:髙宮朋美
2024年5月 8日
エネルギーや栄養素の摂取量だけを考えれば、どんな食べ方でも同じですが、心身への影響、栄養の効果は、「何を食べるか」だけではなく、「どう食べるか」によって大きく変わります。
食べるときの「心理状態」によって変わる2つのこと
味の感じ方が変わる
例えば、家族や友人と出かけてアウトドアで食べるおにぎりやお弁当が美味しい、お説教されながらの食事は味気ない、と感じたことはありませんか。
たとえ同じものを食べたとしても、その時の感情(心理状態)が味の感じ方を左右します。
楽しい、嬉しいなどワクワクしているときやリラックスしている副交感神経が優位な状態では、その感情が食べ物自体の味にプラスされて「おいしい」と感じます。
一方、怒り、悲しい、緊張などストレスが強い交感神経が優位な状態では、唾液の分泌が減り「食べ物が喉に通らない」状態となります。唾液が少ないことで、口の中に十分に食べ物の味を行き渡らせることができず、舌などにある味センサー器官の味蕾で、味を受け取る量が減ります。また、味を伝える神経の働きも変化するため、大好物を食べても、記憶している味とは違い、おいしく感じられなくなります。
消化・吸収が変わる
交感神経が優位な状態では、上で述べた唾液の分泌が減るだけでなく、消化器官の働きが悪くなり、食べ物を消化する消化液の分泌が減ってしまいます。これにより消化不良を起こし、栄養素の吸収が十分にできなくなってしまいます。
「食べ方」で体の反応が変わる2つの方法
よく噛むことで変わる
咀嚼することで、消化吸収がスムーズになります。また、食べすぎ予防、脳の活性化、顎や咀嚼筋が動くことで顔のリフトアップなど、「噛む」ことによる健康効果は数多く報告されています。
食べるスピードで変わる
早く食べることで交感神経を優位にし、緊張状態をつくります。しかし消化が始まると、副交感神経が優位になるため、食後に一気に眠気が起きやすくなります。早食いが、学校や職場で昼食後に眠くなる一因です。
今日から実践 体や心が喜ぶ効果的な食べ方
おいしさは五感で味わう
おいしさは、色、香り、温度、食感など、味以外の要素を合わせて感じています。唯一、五感すべてを一度に活用できるのが食事です。食事の時には、食材、調理法、器、盛り付けなどにも気を留めて、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の五感を活用して味わいましょう。
体と心のバランスを整えるゆっくりよく噛む食事
食べたものの栄養素を、効率よく消化吸収し機能させるためだけでなく、自律神経の調整、その他健康への影響を改善するために早食いの習慣を見直しましょう。
あまり噛まずに早食いになっている方は、まず1日のうちの1食には時間をかけて食べるようにしましょう。
食べられることが幸せ!食事を楽しむ
食事することそのものを楽しむことが、体にも心にも満足感を与えます。
食事作りから楽しむ、家族や友達と会食する、一人のときに好きな音楽をかける、お気に入りの食器やカトラリーを使う、テーブルに花を飾る等、楽しさを演出することで、食事をよりおいしいと感じさせてくれます。
もちろん、栄養バランスは重要ですが、毎日の食事をゆったりと、楽しく、味わって食べることが健康につながります。早速、今日から心がけましょう。
執筆担当・監修管理栄養士:髙宮朋美
参考文献
- ストレスと食生活 e-ヘルスネット,厚生労働省,(2024.4.30閲覧)
- 松井 美咲、菅野 範、大澤 謙二、岡林 一登「ガム咀嚼によるフェイスラインへの影響 ―オープンランダム化並行群間比較試験―」アンチ・エイジング医学 日本抗加齢医学会(2023年19巻3号、49-53)