35歳からの妊娠糖尿病ケア~未来の健康を守る食べ方のコツ3選~
こんにちは。妊娠糖尿病を2回経験した管理栄養士の矢村千紘です。子ども優先になりがちな食生活の中でも、実践しやすい「賢い体づくりのコツ」をお伝えしています。

子どもがいる家庭では、パスタやうどん、カレーライスなどの料理が好まれます。しかし、これら麺類やスプーンで食べる食事は、早食いや過食の原因となり、血糖値の急激な上昇やカロリーオーバーにつながりやすくなります。
子どもの食べやすさを優先し、つい食材を小さめにカットしがちですが、カレーや煮物の野菜は意識的に大きめにカットするのがおすすめです。わが家では、子どもの分は盛り付けた後にキッチンバサミで軽くカットして対応しています。

糖尿病のリスクを持つ方は、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の分泌が遅れる傾向があります。血糖値に影響の大きい主食ばかりを最初に食べると、血糖値が上昇しやすくなりますが、食べる順番を意識することで、緩やかにできます。
2025年3月12日
今回は「食べ方のコツ」についてです。未来の健康は、「何を食べるか」と同じくらい「どう食べるか」も大きく影響します。前回のコラムで紹介した食材の活用に加え、食べる際に意識したいポイントを3つお伝えしますので、ぜひ実践してみてくださいね。
その1 噛むだけで変わる!早食い防止&脂肪燃焼のコツ

子どもがいる家庭では、パスタやうどん、カレーライスなどの料理が好まれます。しかし、これら麺類やスプーンで食べる食事は、早食いや過食の原因となり、血糖値の急激な上昇やカロリーオーバーにつながりやすくなります。
そこで、噛む回数を増やし、ゆっくり食べる工夫をしましょう。ポイントは2つです。
- 具材を大きくする
- 食感の異なる食材を取り入れる
子どもの食べやすさを優先し、つい食材を小さめにカットしがちですが、カレーや煮物の野菜は意識的に大きめにカットするのがおすすめです。わが家では、子どもの分は盛り付けた後にキッチンバサミで軽くカットして対応しています。
また、麺類を茹でる際に冷凍きのこミックスを一緒に茹でたり、白米に雑穀米を混ぜて炊いたりすると、自然と噛む回数が増えます。
噛むことのメリットは侮れません。早食いを防ぐだけでなく、消化吸収を助けたり、脳を刺激して脂肪燃焼を促し、エネルギー消費を高める効果も期待できます。
その2 食べる順番で変わる!血糖値の急上昇を防ぐ食事法

糖尿病のリスクを持つ方は、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の分泌が遅れる傾向があります。血糖値に影響の大きい主食ばかりを最初に食べると、血糖値が上昇しやすくなりますが、食べる順番を意識することで、緩やかにできます。
野菜料理から先に食べる「ベジファースト」、たんぱく質のおかずから先に食べる「ミートファースト」、料理をバランスよく食べる「三角食べ」は、いずれも主食ファーストにならない食べ方です。特に三角食べは、その都度食器を置く時間ができて自然と食事がゆっくりになるのでおすすめですが、その時の食事内容によってどの食べ方でも構いません。あまりルールを厳格にしすぎないことが、「賢い体づくり」のコツです。
パスタやカレーなどの一品料理の時は、簡単な副菜を添えるのもおすすめです。例えば、インスタントスープにわかめや冷凍ほうれん草、オクラを追加すると、簡単に具だくさんの野菜スープが出来上がります。ミニトマトは包丁いらずで便利ですし、レタスをちぎるだけでも立派な副菜になります。
その3 食事の穴埋めにも!健康的なおやつの選び方・食べ方
食事が十分に取れないと、中途半端な時間に空腹を感じ、お菓子をつまんでしまったり、次の食事で食べ過ぎたりしがちです。その結果、カロリーオーバーや血糖値の上昇を招くこともあります。もちろん、食事をしっかりとるのが理想ですが、食べられない時の考え方と対処法を知っておけば、おやつを上手に活用できます。
おやつは、クッキーやチョコ、スナック菓子ではなく、「食事で補えない栄養を摂るもの」と考えましょう。おすすめは、果物、ヨーグルト、チーズ、ナッツ類です。
タイミングとしては、食事と食事の間や、送迎などで活動量が増える前が良いでしょう。逆に、夕食後や21時以降のおやつは控えるのが理想です。
適量は160〜200kcalを目安にしつつ、次の食事までにはお腹が空くくらいの量に調整するのがポイントです。例えば、朝に食べられなかったご飯をおにぎりにして、仕事の合間に食べるのも一つの方法です。自分の生活スタイルに合った形で、おやつを活用しましょう。適量を守ることで、血糖値の安定や食欲のコントロールにつながります。
さいごに
妊娠糖尿病を経験した方も、産後の生活習慣を整えることで将来の発症リスクは下げることができます。育児中のママにとって、食事時間はとても忙しいものですが、小さな意識から始めて、無理なく習慣にしていきましょう。
参考文献
●やせている女性も血糖値が高い!?糖尿病になりやすい人の傾向と対策
●35歳からの妊娠糖尿病ケア~未来の健康を守る食材選びのコツ~
- 妊娠糖尿病既往女性のフォローアップに関する診療ガイドライン,日本糖尿病・妊娠学会, (2025.2.15閲覧)
- おいしく・健康になる「間食」ライフ,糖尿病ネットワーク, (2025.2.20閲覧)
- 糖尿病診療ガイドライン2024,日本糖尿病学会, (2025.2.20閲覧)
- 三城円「食べながらやせるすごい方法」サンマーク出版(2019)
●妊娠糖尿病だった管理栄養士が実践!日常生活のポイント②運動編
●妊娠糖尿病だった管理栄養士が伝授!糖との付き合い方①
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●妊娠糖尿病だった管理栄養士が伝授!血糖コントロールとお通じ改善のポイント
●血糖値コントロールでお口美人を目指す!歯周病と血糖値の深い関係
●見落としがち!糖尿病で失いやすい栄養素
●頑張らずに続ける食生活の見つけ方③〜妊娠糖尿病だったあなたへ〜●妊娠糖尿病だった管理栄養士が伝授!糖との付き合い方①
●妊娠糖尿病だった管理栄養士が伝授!糖との付き合い方②
●血糖値コントロールでアンチエイジング!おやつ習慣のポイント
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