子どもの好き嫌いは心理で変わる!管理栄養士が教える食事の工夫/大橋さやこ
「子どもは好き嫌いがあるもの」「そのうち食べられるようになる」と思っていても、目の前の現実にイライラし、育児の中で食事の時間がストレスになっているママは多くいます。
担当管理栄養士:大橋さやこ
2025年3月19日
子育てにおいて、健康で元気に成長してほしいという願いはすべてのママに共通するものです。子どもの特性を理解し、適切な対応をとることで、好き嫌いを早期に克服していきましょう。
子どもの味覚の発達と好き嫌いのメカニズム
子どもは生まれたときから味覚を持っていますが、その感受性は大人とは異なります。特に、子どもは苦味や酸味に対して非常に敏感で、これは本能的な防御反応とされています。
苦味のある食材は多くの場合、毒性を持つ可能性があるため、自然と避ける傾向があります。このため、ピーマンなどの苦味を感じる野菜は、子どもにとって「嫌いな食べ物」として認識されやすいのです。
こどもの味覚は大人の3倍とも言われています。そのため、子どもが食べ物を選ぶ際には、味だけではなく、見た目や匂い、食感も大きな影響を与えます。
心理テクニックで克服!はじめての食べ物と好奇心の関係
子どもは「新規性恐怖」と「新規性好奇」の間で揺れ動いています。初めての食べ物に対する恐怖心が勝つと、なかなか口にすることができませんが、好奇心が勝ると、試してみようという気持ちが芽生えます。この心理的なバランスを理解することが、子どもに新しい食材をチャレンジさせる鍵となります。
例えば、食材を「冒険の仲間」として紹介することで、子どもが興味を持ちやすくなります。食材の名前をキャラクターに見立てたり、物語を作ったりすることで、食事を楽しい体験に変えることができます。これにより、子どもは新しい食材を試すことに対して前向きになりやすくなります。
栄養学的視点から見る好き嫌い克服の工夫
栄養学的には、子どもの好き嫌いを克服するために、様々な食材を少しずつ取り入れることが重要です。特に、色とりどりの野菜を使った料理は、栄養バランスを整えるだけでなく、視覚的にも楽しませることができます。最近の研究では、食事の見た目が味覚に与える影響も注目されています。
また、食事をゲーム感覚にするのも効果的です。例えば、食べた食材にポイントを付けて、一定のポイントを貯めるとご褒美がもらえるシステムを導入することで、子どもは楽しみながら新しい食材に挑戦することができます。このように、遊び心を取り入れた食事体験は、子どもにとって楽しい思い出となり、食べ物への興味を育む助けとなります。
まとめ
子どもの好き嫌いは、心理的な要因や味覚の発達に大きく影響されます。親が楽しむ姿を見せたり、食事を冒険のように演出することで、子どもは新しい食材に挑戦しやすくなります。子どもが食べたくなる理由を知り、楽しい食事体験を提供することが、健康的で成長を促す食生活を育む第一歩となるでしょう。
参考文献
- こどもの視点ラボ、ウェブ電通報、 (2025 .3.11閲覧)
- 大沼卓也 「目で味わうことの心理学」嗜好品文化研究, 4, 122-130.(2019)
- Child Involvement in Choosing a Recipe, Purchasing Ingredients, and Cooking at School Increases Willingness to Try New Foods and Reduces Food Neophobia,Journal of Nutrition Education and Behavior,53(4),279-289,( 2021)